インドの経済・市場動向(2017年11月)格上げは市場のサポート要因
インドの経済・市場動向(2017年11月)格上げは市場のサポート要因
【ポイント1】政府は大型の景気刺激策
国営銀行に資本注入
■インド政府は10月24日、大型の経済政策を発表しました。これまで懸案であった国営銀行の不良債権問題に対応し、今後2年間で国営銀行へ多額の資本注入を行います。また、今後5年間で大規模な高速道路建設等を実施する計画です。
■経済政策は、中長期的にインドの経済成長を加速させると見られます。特に、銀行への資本注入については、不良債権処理進展に伴う融資拡大を通じて景気回復を後押しすると考えられます。ただし、経済政策に伴う財政悪化リスクには注意が必要です。
【ポイント2】金融政策は据え置きの見込み
消費者物価はやや上昇
■10月の消費者物価指数は前年同月比+3.6%と、市場予想(ブルームバーグ集計)の同+3.4%を上回り、9月の同+3.3%から加速しました。ただし、変動の大きい食料、燃料、光熱、住居費を除くと、10月は同+4.0%と9月の同+4.2%から鈍化しました。
■インド準備銀行(中央銀行)は年度後半にかけて物価がやや上昇すると見ているため、足元の加速は想定範囲内であり、当面金融政策を据え置くと思われます。
【今後の展開】格上げは市場のサポート要因
■大手格付け機関のMoody’sインベスターズ・サービシーズは11月16日、モディ政権の改革への取り組みなどを評価し、インドの長期債格付けをこれまでのBaa3から一段階引き上げて、Baa2としました。
■市場はインドの格上げを好感しています。過去最高値圏にある株価指数SENSEXは、モディ政権の改革への期待から今後も堅調を維持しそうです。通貨ルピーは、好調な株式市場を背景に底堅い展開が見込まれます。また、経済政策に伴う財政赤字拡大を懸念して下落していた債券市場は大きく反発し、長期金利が低下しました。債券市場は落ち着きどころを探る展開となりそうです。
(2017年 11月 22日)
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