米国の『税制改革』ってどんな内容なの?』
<今日のキーワード>米国の『税制改革』ってどんな内容なの?
米国では各政権のもとで、その時々の経済・財政状況等に応じた『税制改革』が図られてきました。『税制改革』の文脈の中でトランプ大統領がしばしば言及するレーガン政権期(1981~89年)以降では、概ね共和党政権下で減税、民主党政権下で増税という流れが見て取れます。このような流れの中で、共和党トランプ政権のもと、2017年11月に所得税減税を柱とする『税制改革』案が上院、下院の双方から公表されました。 |
【ポイント1】米議会の上院と下院が『税制改革』案を公表
所得税および法人税減税が柱
■11月2日に下院が『税制改革』法案を、9日には上院が『税制改革』の概要を発表しました。医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案審議の影響等で遅れていた、『税制改革』の議論が漸く本格化します。
■上下両院の『税制改革』案の内容を見ると、家計に対する減税措置は、所得税の減税(税率区分の簡素化)や標準控除枠の拡大、子育て減税の拡充、相続税の廃止等、法人に対する減税措置は法人税率の引き下げ、設備投資の一括償却等が盛り込まれています。
【ポイント2】『税制改革』法の成立は18年1~3月頃となる見通し
上下院案の摺り合わせには時間を要する公算
■今後は上院、下院での審議、採決を経て、両院協議会で法案を一本化することになります。
■ただ、下院では各種の税控除措置の取り扱い、特に州地方税の控除、上院では高所得者向け減税や、財政赤字の見通しへの反対論が強く、上下院案の摺り合わせには時間がかる可能性があります。こうした点を踏まえると、『税制改革』法の年内成立は難しそうです。
【今後の展開】GDP押し上げ効果は+0.3%程度の見込み
■財政赤字の拡大を抑制するための増税措置を差し引いたネットの減税総額は、下院案が1兆3,950億ドル(家計向けが3,230億ドル、法人向けが1兆720億ドル)、上院案は1兆4,540億ドル(同じく5,510億ドル、9,030億ドル)となります(11月15日現在)。今後10年間で、財政赤字は1兆4,000億ドル前後、拡大する見通しです。
■今回の『税制改革』による経済効果(GDPの押し上げ効果)を推計すると、下院案では+0.25%(家計が+0.14%、法人が+0.12%)、上院案では+0.33%(同じく+0.24%、法人+0.10%)程度となります。
(2017年 11月 17日)
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