日欧『EPA』が大枠合意、保護主義に対抗できるか?
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先日、日本と欧州連合(EU)が『EPA(Economic Partnership Agreement)』の大枠合意に達しました。『EPA』は経済連携協定と訳され、貿易や投資の促進のため、輸出入にかかる関税の撤廃・削減や、サービス業を行う際の規制の緩和・撤廃、投資環境・ビジネスの整備、などが盛り込まれています。今回は、日欧『EPA』のポイントと、トランプ政権などにより高まる保護主義に対する動向を見ていきます。 |
【ポイント1】日欧『EPA』が大枠合意
世界の貿易総額の3分の1以上をカバーする巨大な経済連携協定が誕生
■今月6日、日本とEUとの間で『EPA』が大枠合意しました。日本とEU諸国を合わせると世界の人口の8.6%、世界のGDPの28.4%、そして世界の貿易総額の実に36.8%に達します。なお、関税の撤廃や貿易のルール等、基本的な要素は一致したものの、紛争解決の制度など詰め切れていない分野もあり、年内の最終合意、2019年の協定発効などが見込まれています。
【ポイント2】99%の品目で関税撤廃となる見込み
双方の市場へのアクセスが拡大し、経済活性化が見込まれる
■日欧『EPA』では、90%以上の品目で即時、最終的には99%の品目で関税が撤廃される見込みです。例えば、EUから輸入するものでは、ワインの関税は即時撤廃、チーズは輸入枠を定め、その中で16年目に関税を撤廃することなどが盛り込まれました。また、日本から輸出するものでは、日本酒や日本産ワインなどの関税が即時撤廃されるほか、自動車やテレビなども6~8年目に関税が撤廃されるなど、日本製品の輸出拡大が期待されます。
■物品以外にも、原則すべてのサービス分野、投資分野が自由化の対象となるなど、双方の市場へのアクセスが拡大します。こうした関税撤廃を含む自由貿易の拡大により、日欧双方の経済活性化が期待されます。
【今後の展開】TPPの発効に向けた会合など、保護主義への対抗は続く
■米国のトランプ政権が保護主義的な動きを強める中、日本とEUは自由貿易の結束を示しました。日欧『EPA』の大枠合意後に開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議では、米国が主張する“正当的な貿易対抗措置”の役割を認めつつも、不公正な貿易慣行を含む保護主義への戦いを継続することなどが宣言されました。また明日12日からは、米国を除く11カ国で環太平洋経済連携協定(TPP)の会合が開かれます。今後も、保護主義の台頭に対抗する世界的な動きは続きそうです。
(2017年 7月 11日)
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