変貌する日本の『株主総会』

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3月期決算企業の『株主総会』が6月下旬を中心に開催されました。かつて『株主総会』といえば、企業側が議事進行を優先したいがために、開催日が集中する傾向がありました。『株主総会』自体も形骸化したセレモニーの感もありました。ただし近年、『株主総会』は開催日の分散が進み、議事内容も1年間の経営成績を真剣に審査する場へと変貌を遂げてきています。

【ポイント1】『株主総会』の開催日、分散化が顕著に進行

今年は株主総会の集中日が初めて30%割れ

 

■『株主総会』は開催日の分散が進んでいます。日本取引所グル-プの集計では総会の集中度が最も高かった1995年には、実に96.2%の企業が同じ日に『株主総会』を開催していました。その後年々低下傾向をたどりました。今年の3月期決算上場企業の『株主総会』の集中日は6月29日で、警察庁によると707社が開催しました。集中比率は約29%となり、初めて30%を下回りました。

 

【ポイント2】「コーポレートガバナンス・コード」の導入が背景

株主との建設的な対話が重要

 

■『株主総会』が変貌した要因として東京証券取引所が2015年6月に導入した、「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」において株主との建設的な対話の充実や、株主総会関連の日程の適切な設定を行うべきと記述されたことが背景にあります。

■一方で、株主として生命保険会社や運用機関などの機関投資家の多くは、「スチュワードシップ・コード(責任ある機関投資家の諸原則)」を表明し始めています。このコードでは、機関投資家は企業との対話を通じて、企業価値の向上や持続的成長を促すことが求められています。今年5月に同コ-ドは改定され議決権行使の個別開示が求められることとなりました。

 

 

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【今後の展開】『株主総会』は株主と企業の間で1年間の経営成績を審査する場に

 

■個別開示が求められることになったこともあり、議決権行使基準を厳しくした運用会社は多いようです。会社提案への賛成比率が下がった例として、ROE(株主資本利益率)が低い、社外取締役の不足や独立性が低い、買収防衛策の継続、株主還元の不足等があります。一方、株主提案への賛成比率も上昇傾向にあります。

■『株主総会』は株主と企業の間で1年間の経営成績などを真剣に審査する場へと変貌を遂げてきています。これにより企業のROEの向上や株主還元の改善などが促され、株式市場の上昇に繋がることが期待されます。

 

(2017年 7月 5日)

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