ブラジルの金融政策(2017年5月)1.00%利下げ、今後も利下げが続く見込み
ブラジルの金融政策(2017年5月)1.00%利下げ、今後も利下げが続く見込み
【ポイント1】政策金利を1.00%引き下げ
前回会合に続く、大幅利下げ
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、5月31日の通貨政策委員会で、政策金利を1.00%引き下げて10.25%とすることを全会一致で決定しました。前回会合(1.00%利下げ)に続く大幅な利下げとなりましたが、概ね市場予想(ブルームバーグ集計)の通りでした。これにより、昨年10月以降の利下げ幅は累計で4.00%となりました。
【ポイント2】年内は利下げが続く見込み
インフレの鎮静化傾向が続く
■中銀は声明文で、最近の物価動向は好ましいと評価しています。4月の消費者物価指数は前年同月比で+4.08%と一段と鈍化し、インフレの沈静化傾向が続いています。
■中銀は、物価の予想調査などに基づくと、2017年は前年比+4.0%、2018年は同+4.6%と、中銀の物価目標レンジ(同+4.5%±1.5%)に収まると見ています。また、こうした物価予想から当面は利下げが続き、2017年末の政策金利は
8.5%まで引き下げられ、2018年末までその水準が続くと見られています。
【今後の展開】政治に先行き不透明感、レアルの不安定要因に
■ブラジルでは、2016年5月のテメル政権誕生以来、経済・財政改革や、インフレ率のめざましい低下が進み、通貨レアルも堅調に推移してきました。しかし、足元ではテメル大統領に辞任・弾劾の可能性が浮上し、政治に先行き不透明感が出てきています。このため、財政再建や年金改革などが滞る恐れもあり、利下げはこれまでより緩やかなペースになると見込まれます。また、今後は政治リスクがレアルの不安定要因となりそうです。
(2017年 6月1日)
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