「オフィスビル空室率」、停滞から一段低下(日本)
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「オフィスビル空室率」は、オフィスビル仲介大手の三鬼商事が、毎月中旬頃にホームページに公表しています。空室率のほか、オフィスビルの平均賃料や棟数なども公表されており、オフィスビル市場を見る上で有益です。札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡の7つのビジネス地区について、新築、既存ビルに分けられたデータとなっています。 |
【ポイント1】4月の都心5区の空室率は3.39%
既存ビルの統合などに伴う大型の成約が全体の低下に寄与
■5月11日に発表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の4月の「オフィスビル空室率」は、前月比▲0.21ポイントの3.39%となりました。空室率は、2016年9月以降、3.6~3.7%台で推移していましたが、4月は一段と低下しました。都心5区の中でも、渋谷区と新宿区は「オフィスビル空室率」が2%台前半と、極めて良好な水準となっています。
■4月は、新築ビルの一部が募集面積を残して竣工したものの、既存ビルで統合などに伴う大型成約があったことなどから空室率が低下し、全体の低下に繋がりました。
【ポイント2】平均賃料は40カ月連続の上昇
緩やかな賃料上昇が続く
■4月の都心5区の平均賃料は、坪当たり18,774円でした。前年同月比+3.95%、前月比+0.23%と、40カ月連続の上昇となりました。
■4月は、新築ビルの平均賃料は同▲5.54%と、前月を大幅に上回る下落幅となりました。下落は2カ月連続です。新築ビルの「オフィスビル空室率」は、昨年9月に直近の底を付けてから上昇傾向にあり、賃料上昇の抑制要因となっている
と考えられます。一方、既存ビルの平均賃料は前月比+0.44%となり、緩やかながら賃料の上昇が続いています。
【今後の展開】当面は「オフィスビル空室率」の低水準が続く見込み
■2018年以降は2020年にかけてオフィスビルの大規模な新規供給が予定されており、入居ビルを選別する動きも見られそうです。ただ、2017年内は供給される大型ビルの数が限定的であり、空室率は当面現在の低水準で推移すると見込まれます。
■足元の空室率の低下や賃料の上昇は、オフィスビルに特化したものが多い日本のリート市場には追い風です。また日本では当面金融緩和が続き、長期金利が低水準で推移すると見られ、日本のリート市場にはプラスと考えられます。
(2017年 5月 12日)
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