ECB「金融政策の方向性」(欧州)
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欧州中央銀行(ECB)は、4月6日に3月8日~9日に行われた定例理事会の議事録を公表しました。その中では、景気やインフレの見方に加え、マイナス金利となっている「政策金利」や国債などの買い取りを行う「量的緩和政策」の方向性について様々な意見が交わされていたことが確認されました。最終的には、「現段階でこれらの金融政策の見直しは時期尚早」との結論に達したようです。 |
【ポイント1】景気は拡大傾向継続、インフレはECBの目標値付近で推移
輸出の回復などが牽引
■実体経済との相関が高いユーロ圏PMIは、3月に製造業・サービス業ともに約6年振りの高水準まで上昇しました。ユーロ安などにより好調な輸出や、ドイツを中心とした堅調な雇用環境が景気拡大を支えています。
■また、消費者物価上昇率(以下、HICP)は2月に前年同月比2.0%まで上昇しましたが、エネルギー価格や食品価格の上昇が主因であり、その影響が薄れた3月は同1.5%に鈍化しました。HICPは、ECBが物価安定の目途としている「2%をわずかに下回る」という水準付近で推移しています。
【ポイント2】「マイナス金利」と「量的緩和策」導入後、ECBの総資産残高は増加
資産購入額の減少も視野に
■議事録では、景気が回復し、インフレ率も底入れしたことで、デフレのリスクはかなり低下したことが認められました。
■一方、景気には外部要因(米国の政策不透明感、英国の欧州連合離脱、中国景気の動向など)を中心に下向きのリスクの方が大きいと判断しました。また、今後のインフレ率については、エネルギーと食品を除いたコアインフレ率は落ち着いており、持続的に上昇する確信度はないと判断されました。
【今後の展開】金融緩和策の縮小が視野に入り、国債利回りは緩やかに上昇へ
■金融緩和策は緩やかなペースで縮小へ
景気の回復やインフレ上昇から、政策金利は当分据え置くものの、ECBは年内にも資産購入の規模を縮小する決定をする(実施は18年以降)と思われます。
■国債利回りは緩やかに上昇へ
国債利回りの大幅な上昇は見込みませんが、金融緩和策が緩やかなペースで縮小へ向かうことで、徐々に利回りの水準が上がる見通しです。
(2017年 4月 13日)
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