最近の指標から見る日本株式(2017年4月)緩やかな景気拡大、企業収益などが株価のサポート材料
最近の指標から見る日本株式(2017年4月)
北朝鮮やシリア情勢を巡る地政学リスクが強く意識されるなか、このところ日本株式市場は軟調に推移しています。最近の経済指標から日本株式の投資環境を確認します。
【ポイント1】生産は市場予想を上回る
先行きも上昇基調
■2月の鉱工業生産指数は102.2と前月比2.0%増となり、市場予想(同1.2%増、ブルームバーグ集計)を上回りました。17年1-2月を均してみると、16年10-12月期を1.6%上回っており、16年7-9月期以降の生産の回復局面が続いています。
■製造工業生産予測調査でも、17年1-3月期の上昇基調が示されています。
【ポイント2】実質賃金は横ばい
賃金上昇ペースは加速せず
■2月の毎月勤労統計調査によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比横ばいでした。横ばい圏の動きは5カ月連続です。一方、名目賃金(現金給与総額)は同0.4%の上昇でした。
■2月の失業率は2.8%と94年以来の水準まで低下し、3月短観の雇用人員判断DIも一段の人手不足の深刻化を示唆しています。ただし、賃金上昇ペースの加速になかなか繋がらない状況が続いています。
【今後の展開】緩やかな景気回復が続こう。企業収益などが株価のサポート材料
■海外景気の回復やITサイクルの上昇基調から生産の回復傾向が継続すると見られるため、日本経済は緩やかな景気拡大が続く見通しです。また、賃金の上昇ペースが加速していないことから物価上昇は緩やかなものにとどまると見られ、日銀の金融緩和が長期化すると見込まれます。
■足元の日本株式市場は、トランプ政権への期待の後退や地政学リスクなどから調整局面を迎えていますが、景気拡大に伴う企業収益の増益基調と日銀の金融緩和が株式市場を支える材料と思われます。
(2017年 4月 12日)
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