増勢を維持する米国の雇用統計(2017年3月)雇用の伸びは鈍化するが、天候要因による一時的な現象

増勢を維持する米国の雇用統計(2017年3月)

【ポイント1】雇用者数は9.8万人増

天候要因による一時的な鈍化

■2017年3月の非農業部門雇用者数は前月比9.8万人の増加にとどまり、市場予想(ブルームバーグ集計)の同18.0万人増を下回りました。

■暖冬の影響で、前月の雇用者数が押し上げられた反動によると考えられます。雇用の増加ペースを、3カ月移動平均で測ると+17.8万人となります。雇用の拡大基調に変化は見られません。

 

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【ポイント2】失業率は大幅に低下

賃金は緩やかに増加

■失業率は前月比0.2%ポイント低下の4.5%でした。約10年ぶりの低さです。労働力人口(労働供給)は増えましたが、それを大幅に上回るペースで労働需要(就業者数)が拡大したためです。

■他方、賃金は前月比0.2%増となり、市場予想に一致しました。前年同月比では2.7%増となります。失業率の改善が示す通り、労働需給は引き締まってきています。今後も、賃金は緩やかな増勢を維持する見込みです。

 

 

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【今後の展開】株価は堅調な展開へ

■雇用統計が公表された4月7日の米債券市場では、雇用の伸びが予想外に鈍化したことを受け朝方、利回りが低下しました。その後、①市場の注目が失業率の大幅改善に移り、また②米連邦準備銀行(FRB)の高官から金融緩和の度合いを低減するとの示唆があった等から、米金利は上昇に転じました。米国のシリア攻撃もあり株価は下落、外為市場では米ドルが買われました。

■米国の景気、雇用は拡大基調を維持していますが、賃金上昇率は未だに加速しておらず、物価の上昇は緩慢と予想されます。このため、今後の利上げも緩やかに行われ、年内はあと2回程度にとどまる見込みです。これらを受け、債券利回りは、しばらくはレンジ内での推移となりそうです。一方、株価は景気・企業収益の拡大を織り込む展開になると見られます。

(2017年 4月 10日)

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