最近の「シェールオイル」の動向(グローバル)
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「シェールオイル」は、地中のシェール(頁岩=けつがん)層に含まれる石油のことです。シェール層が深さ数千メートルの地中に存在するうえ、頁岩の細かい隙間に閉じ込められていることなどから、従来の掘削技術では採掘が困難でした。ところが、強い水圧をかけて岩盤層に亀裂を入れて採掘する方法が開発されたことで生産が容易になり、北米を中心に2005年頃から生産が急拡大しています。 |
【ポイント1】底入れに転じた米国の「シェールオイル」生産
16年9月が当面の底
■石油ガス関連の情報サービス企業ライスタッド・エナジー(Rystad Energy)社の統計によれば、2015年前半をピークに減少を続けてきた米国の「シェールオイル」生産は、16年9月の日量493.7万バレルを当面の底に回復傾向にあります。直近17年1月現在の生産量は同500.6万バレルとなっています。
【ポイント2】要因は価格の持ち直し
生産性向上も貢献
■原油生産の回復は、価格が持ち直してきたことによるものです。昨年は産油国間での協調減産に向けた動きが活発になり、これが価格の上昇を支えました。特に12月にはOPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟国との間で、協調減産の合意が成立しました。
■加えて生産性の向上も生産増に貢献したと考えられます。カンザスシティー連邦準備銀行のヒアリング調査によると、原油生産者の想定する損益分岐点価格は、原油価格の代表的な指標のひとつであるWTIで、14年7~9月期のバレル当たり79ドルから16年7~9月期の同53ドルへと大幅に低下しています。通常の陸上および海上油田で生産性が短期間のうちに急上昇するとは考えにくいため、生産性の向上は「シェールオイル」によるところが大きいと判断されます。
【今後の展開】注目されるトランプ次期大統領のエネルギー政策
■需給改善期待などから、原油価格は底堅い動きが予想されますが、価格がバレル当たり55~60ドルを超えてくると、「シェールオイル」の生産が拡大する公算があるため、上値も抑えられると見られます。当面、価格は同50ドル近傍での推移となりそうです。
■トランプ次期大統領は、規制緩和による「シェールオイル」の増産を重要政策に掲げています。これが実現すれば、「シェールオイル」生産の拡大が原油需給の悪化につながりかねません。それだけに次期大統領のエネルギー政策が注目されるところです。
(2017年 1月 12日)
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