2016年の振り返り(世界の債券市場)米景気の持ち直し、トランプ氏勝利を受け利回りは上昇

2016年の振り返り(世界の債券市場)米景気の持ち直し、トランプ氏勝利を受け利回りは上昇

 

【ポイント1】国債利回りは年後半に上昇

米景気の持ち直しなどが背景

■2016年前半の主要国の10年国債利回りは、低下しました。中国や米国経済の減速、原油価格の値下がり、英国の欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票での賛成派の勝利などから、危険回避の動きが強まったためです。年後半は、米国経済が持ち直してきたうえ、米大統領選で、財政支出拡大による景気刺激を唱えるトランプ候補が勝利したことなどを受け、債券利回りは急上昇しました。

■一方、ブラジル、トルコ、メキシコなど新興国の10年国債利回りも概ね年前半は低下傾向を辿りましたが、後半は上昇しました。特に、トランプ米大統領誕生で、保護貿易などマイナスの影響を受けると見られるメキシコの上昇が目立ちました。

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【ポイント2】ハイイールド債は堅調

相対的に高い利回りが魅力

■米国の地方債、社債利回りも、年前半は低下傾向を辿ったものの、後半は上昇しました。そうしたなかにあって、ハイイールド債は底堅く推移しています。世界的に国債利回りが低下するなか、相対的に高い利回りが注目されたと考えられます。

 

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【今後の展開】金利上昇圧力は限定的

■新大統領の景気刺激的な政策への期待から、しばらくは国債利回りに上昇圧力がかかる見通しです。しかし、実際の政策が明らかになるにつれ、落ち着いた推移になると予想されます。一方、投資適格債、ハイイールド債への資金流入は続くと考えられます。企業業績の改善が見込まれ、債務不履行が低い水準で推移すると見られるからです。

(2016年12月28日)

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