原油価格の動向 OPECが8年ぶりに減産で合意
原油価格の動向 OPECが8年ぶりに減産で合意
【ポイント1】OPECが生産量を制限へ
減産合意は2008年以来8年ぶり
■2016年11月30日、OPEC(石油輸出国機構)はウィーンで開催されていた総会で、17年1月1日以降の原油生産量を日量3,250万バレルに制限することで合意しました。
■9月末のアルジェリア臨時総会で合意した同3,250万バレル~3,300万バレルの下限にあたります。合意は、ロシアなどOPEC非加盟の産油国にも、合計同60万バレル程度の減産を求めています。
【ポイント2】サウジアラビアが政策転換へ
シェア維持から価格安定へ
■OPEC月報によれば、10月のOPEC原油生産量は日量3,364万バレルです。従って、今回の合意が実行されれば、加盟国全体で同110万バレル強の減産となります。
■OPECの今回の合意成立の背景には、サウジアラビアの石油政策の転換があると考えられます。つまり価格下落による原油収入の落ち込み、財政収支の悪化を食い止めるため、これまでの生産シェア維持から価格の安定へと戦略転換したと見られます。
【今後の展開】2017年には需給均衡へ、価格も当面、底堅く推移する見通し
■国際エネルギー機関(IEA)は、17年の世界の原油需要を前年比1.2%増の日量9,750万バレル、非OPEC諸国の供給を同0.9%増の同5,720万バレルと予想しています。天然ガス液の供給も考慮すると、OPECが今回合意した生産枠を遵守すれば、17年の原油需給は均衡に向かう見込みです。
■OPECの減産合意を受けて、11月30日のWTI原油価格は前日比9.3%の大幅上昇となりました。原油価格が持ち直せば、米国のシェール生産が拡大する可能性もありますが、当面のところは協調減産成立を受けた需給改善期待から原油価格は底堅く推移すると予想されます。
(2016年12月 1日)
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