「日銀短観」は企業の慎重姿勢を示唆(日本)

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「日銀短観」は、日銀が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う「全国企業短期経済観測調査」のことです。市場では大企業・製造業の現状の景況感(業況判断DI)と3カ月先の景況感(先行きDI)が注目されています。また景況感のほか、企業の売上、収益、設備投資計画や雇用などの状況判断が発表されます。今回の調査期間は8月29日~9月30日でした。

【ポイント1】大企業・製造業は前回調査と同じ

規模・業種を問わず、概ね横ばいと底堅い

■10月3日、9月調査分の「日銀短観」が発表されました。「業況判断DI」(最近)は、大企業・製造業が+6(前回6月調査比横ばい)、大企業・非製造業が+18(同▲1ポイント)となりました。全体として、規模・業種を問わず、業況判断はほぼ横ばいで、底堅い結果となりました。こうした結果の背景には、熊本地震による悪影響の剥落などで足元の内需が底堅く推移していることや、アジアを中心とした景気の持ち直しにより外需も持ち直していることなどが挙げられます。

【ポイント2】想定為替レートは107.92円

業績は下方修正の可能性もあり

■事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業)は、107.92円と、前回の111.41円から円高方向へ修正されているものの、10月3日現在の101円台と比べて円安水準で見込まれています。今後為替が円安方向とならなければ企業収益等は下方修正もあると考えられます。ただし、市場ではすでに足元の円高水準を織り込んでいると見られ、業績が下方修正されたとしても株価には大きなサプライズとはならないと思われます。

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【今後の展開】設備投資は小幅に上方修正、引き続き企業は慎重姿勢か

■「先行きDI」(先行き)は、大企業・製造業が+6(前回比横ばい)、大企業・非製造業が+16(同▲2ポイント、また中堅・中小企業の製造業・非製造業はともに前回から▲2~▲5ポイントの低下となりました。

■2016年度の設備投資額(除くソフトウェア、含む土地投資額)は、全規模・全産業では前年度比+1.7%と、前回比+1.3%にとどまりました。規模別では、大企業・全産業は+6.3%と底堅い状況ですが、中堅企業・全産業は▲3.9%、中小企業・全産業は▲9.0%と、いずれも前回より上方修正されているものの、前年度を下回る見通しです。

■「先行きDI」や設備投資計画から、企業は先行きに対し慎重な姿勢を示しています。当面は、来月の米大統領選挙や、米国を始めとする主要国の金融政策の行方を見極める展開となりそうです。

(2016年10月4日)

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