大統領「弾劾成立」見込み強まる(ブラジル)
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ブラジルのルセフ大統領は、景気後退、物価高、石油公社ペトロブラスを巡る汚職問題など多くの課題を抱えて辞任を求める動きが根強く、3月17日から大統領に対する弾劾請求の審議が下院で始まりました。「弾劾成立」には、上下院それぞれで3分の2以上の賛成が必要です。ルセフ政権は、大統領の与党労働者党(PT)がブラジル民主運動党(PMDB)などと連立で構成しており、協力政党の動きがカギになりそうです。 |
【ポイント1】世論は「弾劾成立」に向けた動きを支持
ルラ前大統領を擁護する大統領の姿勢に、連立与党内でも反発が強まる
■3月13日には、反政府デモが全国で発生し、300万人が参加したと伝えられました。また、世論調査(ダタフォリャによる3月17日~18日の調査)では、ルセフ政権の政策運営を良くないと評価する比率は69%と、同社が政権支持率調査を開始した1989年以来最も高かった昨年8月調査時の71%に次ぐ水準に上昇しました。世論は、「弾劾成立」に向けた動きを支持しているといえます。
■こうしたなか、PMDBの閣僚が辞任を表明するなど、協力政党が政府から距離を置く動きが足元で目立ちます。ルセフ大統領が後ろ盾ともいえるルラ前大統領を官房長官に任命したことに対し、同氏を巡るマネーロンダリング(資金洗浄)の捜査の妨害を図ったとの批判が、連立政権内部の不協和音を強めるきっかけになりました。
【ポイント2】PMDBが連立離脱を決定
「弾劾成立」の見込みが強まる
■PMDBの首脳は29日に会合を開き、連立からの離脱を決定しました。同党所属の閣僚には、4月12日までに辞任するよう求める方針です。
■PMDBのルセフ大統領への協力打ち切り決定により、「弾劾成立」の見込みが一段と強まりました。成立の場合、同党党首で副大統領のテメル氏が後継になり、内閣も刷新されると見られています。
【今後の展開】市場は「弾劾成立」をプラス材料として期待
■「弾劾成立」まで相当の時間も
議会では、今後専門の委員会による調査や大統領の弁明などが実施される予定です。弾劾手続きには180日以上かかる場合の規定もあり、「弾劾成立」まで相当な時間がかかる可能性があります。
■不透明感から市場の変動は大きくなりそう
PMDBが政権を担うと企業活動が活性化すると見る向きが多く、株式、債券、通貨など各市場は足元の政治動向をプラスと受け止めています。ただし、成立までの間、不透明感から変動は大きくなりそうです。
(2016年3月30日)
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