資源価格の動向~原油は当面ボックス圏に、鉄鉱石が急回復~
資源価格の動向~原油は当面ボックス圏に、鉄鉱石が急回復~
【ポイント1】原油は40ドル台を回復
26ドル台で底値は固まった公算
■原油価格(WTI先物、直近限月)は、2月に1バレルあたり26ドル台と約13年ぶりの安値水準をつけましたが、その後は42ドル前後まで反発し、最近は40ドル前後での推移となっています。
■原油需給は依然緩慢なままですが、財政状況がひっ迫してきたことから、産油国の協調減産実施への思惑があるのに加え、需給緩和の大きな要因となった北米のシェールオイルの生産量が、ようやく減少に転じていることなどが背景と見られます。
【ポイント2】鉄鉱石市況が急反発
中国の鋼材市況が回復
■他の資源では、鉄鉱石市況の急回復が最近の大きな変化です。中国が豪州などから輸入する鉄鉱石のスポット価格は、春節明け後に急反発し、底値から約5割上昇しました。
■中国の鋼材市況の反発が背景です。代表的な品種である熱延鋼板の市中価格は、昨年11月の底値から30%以上上昇しています。政府の経済対策への期待や、鉄鋼産業の過剰設備処理の方針が打ち出されたことが背景です。
【今後の展開】原油は産油国の減産がカギ、鉄鉱石は中国の景気と政策
■原油については、30ドル程度の価格では採算割れの油田が閉鎖され、供給維持は不可能と言われていますが、短期的な需給改善には産油国の減産が不可欠です。既にOPECとロシアなどが、協調減産を模索する動きが見られます。最大の生産量を有するサウジアラビアの動向がカギを握ると見られます。
■鉄鉱石に関しては、やや期待先行の相場展開との見方が一般的です。世界需要の約4割を占める中国の景気動向と、これまで何度も表明されては実行できなかった鉄鋼の生産設備の処理が、本当に実行できるかどうかが今後の市況のポイントになりそうです。
(2016年3月29日)
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