「資源国・新興国通貨」の動向(グローバル)

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中国の景気減速や原油安の進行など複数のリスク要因が重なり、年初から世界の金融市場は大きく混乱しました。為替市場でもリスクオフ(回避)の動きが鮮明となり、円が主要通貨でほぼ全面高の展開となりました。商品相場は全般に軟調地合いとなり、新興国経済の先行きにも不透明感が強まったことから、「資源国・新興国通貨」は対米ドルで売り優勢の展開となりました。

【ポイント1】「資源国・新興国通貨」に買い戻しの動きも

原油や人民元の下げ一服感が背景
■足元の為替市場では、「資源国・新興国通貨」を徐々に買い戻す動きがみられるようになっており、年初から積み上がった「資源国・新興国通貨」の売り持ち高の縮小が進んでいるようです。この理由として、原油などの商品相場に下げ一服感が出始めていることや、中国人民元の為替レートが比較的安定して推移していることなどが挙げられます。

【ポイント2】商品相場に変化の兆し

「資源国通貨」を下支え
■サウジアラビアなど4カ国は2月16日、原油生産を1月の水準で凍結することで合意しました。イランは同調を明言しておらず、増産凍結が実現するか否かは不透明ですが、価格安定に向けての動きが具体化したことは、原油相場に好材料です。

■また鉄鉱石価格や、ロンドン金属取引所(LME)で取引されている6種類の工業用金属で構成されるLMEX指数も、1月中旬頃から緩やかに上昇しています。このような商品相場の流れを受け、「資源国通貨」は対米ドルで買い戻されています。

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【今後の展開】「資源国・新興国通貨」はリスクをにらみつつ、大底の形成も

■一方、新興国に目を向けると、タイやインドネシアでは公共投資の実行などで内需が拡大する見通しで、アセアン諸国は今年から来年にかけて成長ペースが緩やかに加速すると思われます。すでにアセアン通貨を中心に、「新興国通貨」も対米ドルで反発の動きがみられます。

■ただ中国の景気減速や原油安などのリスクは完全に払拭されておらず、「資源国・新興国通貨」の先行きもまだ楽観できない状況です。しかしこれら通貨のパニック的な売り局面はすでに終了していると思われ、今後は個々のリスク要因をにらみつつ、大底を形成する動きに向かう可能性があります。

(2016年3月1日)

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