最近の指標から見る欧州経済(2016年2月)~追加金融緩和と財政拡大で緩やかな景気回復維持へ~
最近の指標から見る欧州経済(2016年2月)
【ポイント1】回復ペースは緩やか
消費は底堅く推移
■ユーロ圏の2015年10-12月期の実質GDP成長率は前期比+0.3%と、緩やかな景気回復にとどまりました。新興国経済の減速により、輸出が前期比減少したことが影響しました。
■ドイツは、雇用の改善から消費が底堅く推移し、プラス成長を維持しています。しかし、企業の設備投資などが力強さを欠き、緩やかな景気回復にとどまっています。
【ポイント2】ドイツの景況感が下振れ
物価は2%の目標を下回る
■製造業などから構成されるドイツのIfo企業景況感指数やサービス部門の企業景況感指数の2月分は、前月から低下しました。世界経済の減速懸念の強まりや、今年に入ってからの株式市場の下落の影響を受けたと見られます。
■1月のユーロ圏の消費者物価上昇率は、前年同月比+0.4%と前月から上昇したものの、欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%を下回りました。足元で原油価格が歴史的な低水準にあることが物価上昇圧力を抑制していると見られます。
【今後の展開】追加金融緩和と財政拡大で、緩やかな景気回復の維持へ
■ECBは3月の理事会で、景気や物価見通しを見直し、追加緩和を行うことを示唆しています。企業の景況感が下振れており、景気や物価を下支えするため、マイナス金利のマイナス幅拡大や国債などの購入額の拡大などが見込まれています。
■ドイツは、難民支援のため、財政方針をこれまでの緊縮から積極に転換しました。他のユーロ加盟国も同様に財政を拡大傾向に転じる国が増加しそうです。金融と財政の政策支援により、緩やかな景気回復の維持が期待されます。
(2016年2月25日)
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