米国の債券市場(2016年2月) ~世界経済の先行き不透明感などから国債利回りは低下~
米国の債券市場(2016年2月) ~世界経済の先行き不透明感などから国債利回りは低下~
【ポイント1】国債利回りは低下
リスク回避の動きが強まる
■2016年1月の米国10年債利回りは、低下しました。低調な中国の景気指標を受けて世界経済減速の懸念が再び浮上してきたうえ、サウジアラビアとイランの対立が表面化したこと、株価や原油価格が大きく値を下げたことから、リスク回避の動きが強まったためです。
■加えて、1月26日~27日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場の予想通り政策金利が据え置かれましたが、会合直後に公表された声明文の内容は、世界経済と金融市場に対する警戒的な文言が挿入されるなど、全体的にハト派的なものでした。日銀が1月29日にマイナス金利を導入したことも、国債の利回り低下を後押ししました。
【ポイント2】社債スプレッドは拡大
日米短期金利差も拡大
■米社債スプレッド(国債との利回り差)は、1月中旬以降、欧州金融機関の信用リスクが高まったこともあり、リスク回避の動きが強まったため拡大しました。
■短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利(LIBOR)で見ると、日銀のマイナス金利導入により、日米金利差は拡大しました。
【今後の展開】当面のところ国債利回りは低い水準で推移する見通し
■1月の雇用統計は、米国の景気が緩やかな拡大基調にあることを示すものでした。2月10日のイエレン議長の議会証言の内容も併せて考えると、2016年も利上げは継続されると予想されます。
■ただし、物価が安定していることに加え、世界経済の先行き不透明感はむしろ強まってきたことから、市場の利上げ観測は一段と後退しています。国債利回りは当面、低い水準で推移すると予想されます。
(2016年2月12日)
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