米国の債券市場(2016年1月)~好悪材料が拮抗し、国債利回りはもみ合う展開~
米国の債券市場(2016年1月)~好悪材料が拮抗し、国債利回りはもみ合う展開~
【ポイント1】国債利回りはもみ合い
利上げ実施で不透明感は後退
■昨年12月上旬、米国10年債利回りは、欧州金利の上昇や米国の利上げ観測の高まりなどを受けて2.3%台まで上昇しました。
■しかしその後、原油価格の急落などによりリスク回避の動きが強まったこと、12月中旬に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されたものの、今後の利上げペースが緩やかになるとの見通しが声明文に明示されたことから、国債利回りは低下し、2.2%を挟んでのもみ合いとなりました。
■12月末の10年国債利回りは2.27%(前月末比0.06%ポイント上昇)でした。
【ポイント2】社債スプレッドは拡大
日米短期金利差も拡大
■米社債スプレッド(国債との利回り差)は拡大しました。利上げを受けて社債に対する需要が鈍化したうえに、原油価格の下落により資源関連企業の業績に対する不安感が強まったことが背景です。
■短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利(LIBOR)で見ると、米国の利上げにより日米金利差は月間で0.18%ポイント拡大しました。
【今後の展開】 当面のところ国債利回りはレンジ内での動きとなる見通し
■12月の雇用統計やISM指数は、米国経済の順調な拡大、労働市場のスラック(需給の緩み)の改善を示唆するものでした。利上げは、16年も継続される可能性が高いと考えられます。
■国債利回りには上昇圧力がかかりますが、利上げのペースが緩慢なことや、中国経済や原油価格などの不透明要因が解消されていないことを踏まえると、当面のところレンジ内での動きになる見通しです。
(2016年1月14日)
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