最近の指標から見る欧州経済(2016年1月)~追加金融緩和や財政拡大で、緩やかな景気回復持続へ~
最近の指標から見る欧州経済(2016年1月)
【ポイント1】緩やかな景気回復が持続
サービス業が景気を支える
■ユーロ圏の10月の生産は前月から増加しました。雇用や所得が底堅く、生産は上向きです。12月のMarkitユーロ圏製造業PMI(購買担当者景況感指数)は前月比上昇しており、足元で生産活動の回復傾向が強まっています。
■11月の小売は、パリ同時多発テロによるフランスの低下などが影響し、前月から低下しましたが、全体としては比較的高い水準です。12月のMarkitユーロ圏サービス業PMIは前月から横ばいで総じて底堅く、サービス業が景気回復を支えています。
【ポイント2】物価は目標を大きく下回る
民間企業向け貸出は増加
■消費者物価指数上昇率は前年比小幅なプラスで推移しており、欧州中央銀行(ECB)の目標である2%を大きく下回っています。
■企業向け貸出は増加傾向です。量的金融緩和は、企業活動を後押ししています。
【今後の展開】追加金融緩和や財政拡大で、緩やかな景気回復の持続へ
■ユーロ圏は、雇用や所得の回復によりサービス業が引き続き景気を支えると予想されます。一方、テロや難民の急増による社会不安、地政学リスク、英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票実施などへの思惑が、景気に悪影響を及ばすことが懸念されます。原油安の急激な進展も製造業の回復を遅らせる可能性があります。
■景気回復が緩やかで物価上昇率がECBの目標を下回る見込みから、追加金融緩和が予想されます。また、財政赤字の縮小が進んだことから、ドイツなどを中心に財政支出の拡大余地が増しています。難民問題は、収容施設の建設などで景気にプラスとなる面もあります。追加金融緩和や財政拡大で、緩やかな景気回復の持続が期待されます。
(2016年1月8日)
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