宅森昭吉に聞く「2016年の景気」(日本)
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宅森昭吉チーフエコノミストは、現状の景気はやや足踏み状態を示すものもあるが、よく見ると明るい動きがみられるとしています。「下町ロケット」や「あさが来た」などのTVドラマが人気を集めたように日本経済を支える中小企業の景況感改善をサポートする動きが見られるうえ、各指標にはバブル期直後の水準まで回復しているものが多くみられるためです。 |
【ポイント1】中小企業経営者を応援する世の中の風潮
「下町ロケット」人気で、設備投資意欲に点火
■GDP統計や「景気ウォッチャー調査」など、足元の景気指標には足踏み状態を示すものが多くみられます。身近な指標では、プロ野球の日本シリーズの組み合わせで、ソフトバンク対ヤクルトの人気度ランキング合計6が景気足踏み状態と整合的です。
■ただし、景気と身近な社会現象は、景気の底堅さを示唆するものが多い状況が続いています。10-12月期のTVドラマで人気を博したのは「下町ロケット」と「あさが来た」。いずれも中小企業の経営者を応援する世の中の風潮を示しています。それを受けてか、中小企業の設備投資の先行指標となる代理店受注は、10‐12月期まで3四半期連続で増加見込みとなっています。
【ポイント2】約24年ぶりの水準示すデータ多い
非製造業の景況感や有効求人倍率に注目
■また、12月の日銀短観では、大企業・非製造業の業況判断DIの+25は、91年11月以来約24年ぶりの高い水準となっています。11月の有効求人倍率の1.25倍も92年11月以来の高い数字です。
■したがって、過去20年間なかったからといって、政府見通しの2016年度の名目成長率3.1%がありえないと現時点で決めつけるのもいけないかもしれません。
【今後の展開】春闘での賃上げに注目、懸念材料はあるが良い年になりそう
■賃上げがポイント
2016年を見る上で、最大の注目点は春闘での賃上げです。企業収益は史上最高益の連続更新が見込まれる中、人手不足が進行しているわけですから、設備投資の拡大、さらには賃金上昇が実現し、それが消費拡大へつながるという好循環を期待したいものです。
■エルニーニョが懸念材料
懸念材料はエルニーニョ現象です。現在発生しているものは、20世紀最大級だった1997‐98年並みに強くなっており、既に暖冬の悪影響が11月の消費に出ています。ただし、桜の開花が早い年には、景気は悪くならないという傾向もあります。夏ごろにはエルニーニョはおさまり正常化すると期待されています。
(2016年1月4日)
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