スペイン総選挙、ラホイ首相率いる与党が過半数割れ

スペイン総選挙、ラホイ首相率いる与党が過半数割れ

【ポイント1】与党が過半数割れ確実

急進左派のポデモスなどが躍進
■20日投開票のスペイン総選挙で、ラホイ首相が率いる国民党は下院で過半数割れが確実となり、急進左派のポデモスなどが躍進しました。その結果、国民党は政策の近い中道右派のシウダダノスと連立を組んでも、過半数を下回ることは確実で、2カ月以内に連立政権が樹立出来ずに再選挙となる可能性が出てきました。

■国民党の敗北の要因は、汚職疑惑などへの国民の不満です。スペインは2012年に金融機関の財務悪化が原因で金融危機に陥り、以降、ラホイ首相は緊縮財政を進めてきました。経済は回復傾向にあるものの、若年層の失業率が高止まりし、反緊縮を掲げるポデモスが勢力を拡大したと見られます。

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【ポイント2】欧州株式は下落

スペイン国債の利回りは上昇
■選挙結果を受けた21日の市場は、政治の不透明感の高まりを嫌気し、欧州株式では下落傾向が、債券市場ではスペイン国債の利回りの上昇傾向が強まりました。一方ユーロは対米ドル、対円で上昇し、為替市場への影響は限定的でした。

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【今後の展開】若年層の不満の高まりが政治のかく乱要因に

■焦点は、反緊縮財政を掲げるポデモスが、他の左派政党と連立を組み、最大勢力となるかにあります。仮にそうなると、上院では引き続き国民党が過半数を制しているために、上下院でねじれが発生することになります。また、財政赤字の対GDP比を2016年までに3%以下に縮小する目標の達成が危ぶまれます。

■欧州では今年、ギリシャやポルトガルの総選挙で反緊縮財政の左派勢力が議席を伸ばしました。これらの国でも若年層の失業率が高く、既存政党への不満が高まっていたことが背景でした。政治の不透明感の高まりによって、欧州の景気が腰折れし、市場の変動が高まる動きに注意が必要と見られます。

 

(2015年12月22日) 

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