日銀の金融政策(2015年12月)~「量的・質的金融緩和」の補完措置を決定~
日銀の金融政策(2015年12月)~「量的・質的金融緩和」の補完措置を決定~
【ポイント1】購入国債の残存期間長期化
新たなETF買入れ枠を設定
■日銀は、17日~18日の金融政策決定会合で、現行の「量的・質的金融緩和」の維持と、それを補完するための新たな措置の導入を決定しました。日銀総裁は今回の措置のねらいを、現行の資産買入れ策を円滑に進めることと、政策を効果的に浸透させることとしました。また、今回の措置は、「追加緩和にあたらない」との見方を示しました。
■日銀の発表資料によると、新たなETF(上場投資信託)買入れ枠の設定は、年間約3,000億円の枠を設け、「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象とするETFを買い入れるとしています。ただしこの金額は、来年4月に再開される日銀保有株の売却額とほぼ同等の規模であり、株式市場全体にとっては中立の要因と考えられます。
【ポイント2】株価は乱高下、前日比下落
米ドル円レートは円高方向の反応
■18日の日経平均株価は、日銀の発表直後、ETFの新たな枠設定などを受けて一時前日比500円以上急騰する場面もみられました。その後、政策内容の詳細が明らかになるにつれ下落し、結局、終値は同360円以上安い18,986.80円でした。
【今後の展開】企業支援策を拡充し、経済の好循環、物価目標の達成を後押し
■黒田総裁は、2%の「物価安定の目標」の達成時期について、「2016年度後半ごろ」との従来の見方を維持しました。今回の補完措置には、上場企業以外をも対象とした「成長基盤強化支援」のための資金供給策拡充も盛り込まれており、企業の所得増から支出拡大へという経済の好循環と「物価安定の目標」達成を強く後押しする姿勢がうかがわれます。
■黒田総裁は会見で、今回の決定が「追加緩和」ではなく現行政策を「補完」する位置づけにあることを繰り返しました。直近の日銀短観でみて企業の景況感が底堅く推移していること、日銀の物価目標の達成見通しに変化がないことなどを踏まえると、当面は追加緩和を見通しにくい状況です。景気と物価の改善が進むかが引き続き焦点と考えられます。
(2015年12月18日)
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