「TPPの政策大綱」と新3本の矢の関係(日本)
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政府は11月25日、環太平洋経済連携協定(TPP)総合対策本部を首相官邸で開き、国内対策をまとめた「TPPの政策大綱」を決定しました。TPPは安倍首相によって成長戦略の切り札と位置付けられているように、アベノミクス旧3本の矢のうち第3の矢(民間投資を喚起する成長戦略)を具体化した施策であり、「TPPの政策大綱」の内容は2015年度の補正予算に反映される見通しです。 |
【ポイント1】「TPPの政策大綱」で経済再生や国民の不安払拭を目指す
輸出の促進やグローバル・ハブの実現などが主な柱に
■政府は「TPPの政策大綱」について、TPPの効果を経済再生および地方創生に直結させ、TPPの影響に関する国民の不安を払拭する政策の目標を明らかにするものとしています。今回の決定では①「輸出の促進」、②「グローバル・ハブ(貿易・投資の国際中核拠点)の実現」、③「農業への配慮」が主な柱となっています。
【ポイント2】新3本の矢との関連
600兆円の積み上げに寄与
■具体的にみると、①には中堅中小企業の参画、コンテンツ、農林水産物、インフラシステムの輸出促進が明記されています。②には外国企業の誘致、訪日外国人観光客の消費(インバウンド消費)拡大促進などが含まれます。③は農家の不安に対処し、国産米を備蓄米として政府が買い入れるなどの保護策です。
■なおアベノミクス新3本の矢において第1の矢で目標とする名目GDP600兆円の積み上げには、TPPによる輸出やインバウンド消費が含まれます。そのため「TPPの政策大綱」は新3本の矢と、その具体化策の「1億総活躍緊急対策」とも密接に関連します。
【今後の展開】着実に施策が進み市場の評価が高まることも
■TPP協定は「TPPの政策大綱」に記された関連産業には追い風となりそうです。ただ実際に効果が現れるには、2016年とみられる協定の発効を待たねばならず、これまでに明らかになった基本方針だけで直ちに日本株が上昇するという展開は見込み難いようです。
■ただ今回の「TPPの政策大綱」や「1億総活躍緊急対策」は、日本経済の将来を見据えて成長機会を探り、少子高齢化問題にも取り組んでいる点は前向きに評価できます。政策効果の顕在化は中長期にわたりますが、着実に施策が進む過程において市場の評価が高まることも期待されます。
(2015年12月3日)
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