原油価格の動向~本格的な価格上昇には時間を要する~

原油価格の動向~本格的な価格上昇には時間を要する~

【ポイント1】原油価格の低迷長引く

IMFはサウジに財政圧縮を提言
■原油価格低迷が長期化しています。25日の原油価格(WTI)は、1バレル当り43.0ドルと、リーマン・ショック後の安値近辺での推移となっています。

■OPEC(石油輸出国機構)最大の産油国であるサウジアラビアの財政収支は今年、GDPの約20%に相当する大幅な赤字となる見通しとなり、IMFは10月、サウジアラビアに対し、財政支出の圧縮を提言する事態となっています。

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【ポイント2】シェールオイルが減産傾向に

米国の在庫はようやく減少へ
■今後の原油市況にとってのプラス要素としては、米国のシェールオイルの生産量が減少傾向に入ったことがあげられます。米国の原油掘削施設(リグ)稼働数は、昨年末には1,500基程度でしたが、足元ではその3分の1近い555基に減少しています。このため米国の産油量は、直近ピーク(今年4月)の日量960万バレルから足元では910万バレル程度に減少しています。

■現在、米国の原油在庫は大幅に積み上がっていますが、石油需要は引き続き増加トレンドにあり、今後は一段の減産に伴い在庫は減少に転じそうです。

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【今後の展開】来週のOPEC総会とCOP21が注目される

■来週、原油に関して重要なイベントが2つ開催されます。11月30日からパリで開催されるCOP21(気候変動枠組み条約第21回会議)と、12月4日からウィーンで開催されるOPEC総会です。COP21においては、二酸化炭素削減の定量目標設定が話し合われます。合意に至れば、長期的な原油需給にはマイナス要因となる可能性があります。

■OPEC総会では、仮に原油の減産が決定されれば価格の上昇要因となります。産油国の多くはサウジアラビア同様に石油収入の減少で苦しんでおり、減産による価格引き上げの思惑が働きやすい状況です。ただし、今回の総会ではOPECおよび自国のシェア低下につながる減産の合意は決まらないとの観測が現時点では有力です。

(2015年11月27日) 

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