トルコの金融政策と市場の動向~中銀は通貨安を警戒、政策金利を高めに維持~
トルコの金融政策と市場の動向~中銀は通貨安を警戒、政策金利を高めに維持~
【ポイント1】トルコ中銀は高金利を維持
通貨安には利上げも辞さない姿勢
■トルコ中央銀行(以下、中銀)は24日、市場の予想通り、主要な政策金利の1週間物レポ金利、金利誘導レンジの上限と下限の金利をいずれも据え置くことを発表しました。
■中銀は昨年1月に通貨防衛のため大幅な利上げを実施した後、正常化の過程にありますが、その後も通貨安に歯止めがかからず、高金利政策を続けています。物価の高止まりが続いていることから、中銀はリラのさらなる下落で物価高への懸念が高まる場合などには、利上げも辞さない構えです。
【ポイント2】地政学リスク高まりトリプル安
トルコによるロシア軍機撃墜で
■24日にトルコがロシア軍機を撃墜したことから、地政学リスクが一段と高まりました。トルコ政府が領空侵犯を非難した一方でロシアがそれを否定し反発、両国の外交関係も緊張しています。
■これを受け、同日のトルコ市場は、株式、債券、通貨がいずれも下落するトリプル安になりました。
【今後の展開】新内閣発足で政治は安定化も、市場は地政学リスクに神経質な展開
■11月1日実施の総選挙で単独過半数を獲得した与党公正発展党(AKP)のダウトオール党首は24日、自身を首班とする新内閣の閣僚リストを発表、エルドアン大統領は承認の意向を示しました。政治の安定で、シリアを巡る他国との連携が改善するとの期待はトルコ市場への懸念を和らげそうです。
■フランスで同時多発テロが発生して以降、国際的な対テロ作戦が本格化する一方、報復と見られるテロが世界的に発生しています。国際的な協調が必要ななかでのロシア機撃墜により問題が複雑化しており、当面市場はグローバルに地政学リスクの動向に神経質な展開となりそうです。
(2015年11月25日)
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