最近の指標から見るブラジル経済(2015年10月)~物価の落ち着きを通じた景気の持ち直しに期待~

 最近の指標から見るブラジル経済(2015年10月)

【ポイント1】消費が一段と低迷

生産、輸出も低迷
■8月の小売売上高は、物価の影響を除いた実質で前年同月比▲6.9%と、マイナス幅の拡大が続きました。消費者信頼感指数は9月も低下しており、物価高や金融引き締めが消費者心理に影響していると見られます。

■8月の鉱工業生産指数は同▲9.0%、9月の輸出は同▲17.7%とマイナスが続きました。内需と外需がともに弱く、景気は全般に低迷しています。

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【ポイント2】中銀は高金利維持の姿勢

レアル安で物価高懸念は根強い
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、9月2日の前回会合で政策金利を14.25%に据え置きました。中銀は、現行の金融政策を長期にわたり維持することにより、物価を2016年末に目標(年+4.5%)に落ち着かせる方針ですが、足元まで物価は高止まりしています。

■物価高の一因であるレアル安は、9月下旬以降反転上昇傾向にあります。しかし、財政不安、政情不安などのレアル安要因が当面払拭されないため、物価高や高水準の政策金利は長引く見込みです。

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【今後の展開】物価の落ち着きを通じた消費者心理の改善、景気持ち直しに期待

■中銀は9月下旬に、4月以降中止していた通貨スワップ取引の新規入札を再開するなど、レアル安定化に向けた取り組みを強化しています。また、ルセフ大統領は、内閣改造や来年度予算の見直しなどを発表し、財政再建への取り組みを強化しています。

■中銀は、政府の財政再建を重要視しており、取り組みが進まずレアル安圧力が強まる場合には利上げも辞さない姿勢です。当面は、金融引き締めにより物価が安定し、消費者心理の改善などを通じて景気が持ち直すことを待つ局面といえます。

 (2015年10月16日) 

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