「難民」解決へ世界規模の協力に期待(欧州)

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「難民」は、民族紛争や迫害などで、自らの居住国・地域を離れざるを得ない人々のことを言い、国連によると2014年6月時点で約1,300万人が「難民」として認定されています。今年7月では、シリアの「難民」は400万人を超え、その他も含め今年1月~7月に欧州連合(EU)に「難民」申請を行ったのは約51万人に達しました。EUは16万人の受け入れを目指し、加盟国の分担を調整しています。

【ポイント1】内戦の長期化から、シリア「難民」が急増

EUは4万人の受け入れを決定し、さらに12万人追加を調整中

■シリア「難民」の急増を受けて、EUは14日、4万人の受け入れと各加盟国の分担を正式決定しました。さらに、12万人の追加受け入れを目指し、分担の調整を行っています。

■分担の調整は、公平性と財政負担などを巡り意見が分かれていることから時間がかかりそうです。EU加盟の一部新興国は、高失業率で財政に余裕が無いこと、「難民」がドイツなどの豊かな国への移住を希望することが多いことから、自国への受け入れに反発しています。

■一方、4万人と最大の分担が予想されるドイツでも、既に受け入れ施設が不足し混乱が生じており、割り当て以上の「難民」の受け入れに消極的で、国境での検閲を導入し「難民」の入国管理を強めるなどしています。

【ポイント2】長期的には労働力人口増

短期的にはコスト要因
■ 「難民」の受け入れは、長期的に見ると、労働力人口の増加につながり経済のプラス要因と見られます。

■しかし、労働力となるためには、言語、文化、労働技能などを習熟する時間とコストが必要で、短期的には、経済へのマイナスが懸念されます。さらに、今回のシリア「難民」はその規模がこれまでよりも大きく、地域社会との摩擦なども不安視されています。

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【今後の展開】人道面から世界規模での協力が必要

■内戦長期化の背景に、米欧とロシアの対立
シリアの内戦は、ロシアと同盟関係にある同国の体制派と、米欧が支持する反体制派との内戦の長期化、激化が背景です。これ以上の対立激化の回避のため、体制派を容認する意見もEU内に出てきているようですが、早期停戦への動きはまだ見られません。

■ロシアへの経済制裁も絡み、事態は複雑化
米欧とロシアの対立が再燃すれば、事態の解決が遠くなると見られます。ウクライナを巡るロシアへの経済制裁も絡み、複雑に政治問題化し、解決には時間がかかりそうです。人道面からの世界規模の協力が期待されます。

(2015年9月16日)

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