中国人民元の「SDR」採用(中国)

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「SDR(特別引出権)」は、国際通貨基金(IMF)加盟国が金融危機時に取り崩すことが出来る補完的な準備資産のことで、米ドルなどと交換することが出来ます。「SDR」の価値は、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円の4通貨によって決まり、その構成の見直しは5年に1回行われます。今年8月の見直しでは、中国人民元を構成通貨とするかを巡って結論が出ませんでした。

【ポイント1】IMFは、人民元の自由度基準で、「SDR」採用は結論を見送り

年内に結論、実施は来年10月

■「SDR」に採用される通貨には2つの要件が課せられています。一つは通貨を発行する国の世界貿易量に占めるウェイトで、もう一つは通貨取引の自由度です。今年8月に開催されたIMFの会合で、人民元は貿易量の基準は満たしましたが、自由度の基準で結論が先送りされました。

■人民元はクローリング・バンド制と呼ばれる、変動相場制を採用しています。この制度では、1日当たりの変動許容幅が決められています。また、取引の中心となる基準値と呼ばれる為替レートはこれまで必ずしも市場実勢に基づいて決定されていませんでした。

【ポイント2】人民元制度改定を発表

輸出拡大を狙った切り下げとの見方
■結論が先送りされた後の8月11日に、中国は人民元の基準値の決定方法を変更し、より市場実勢を反映するように改定しました。

■IMFが求める、自由度確保のための改定でしたが、中国経済減速や輸出の減少とタイミングが重なったため、市場では輸出拡大のための人民元切り下げと受け止められました。切り下げへの国際的な批判もあり、それ以降、一定の変動に抑えるため、中国当局は人民元買いの介入を続けているようです。

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【今後の展開】経済が落ち着くにつれ、人民元取引の自由化が進展することを期待

■「SDR」採用は国家目標
中国は人民元の「SDR」採用を国家目標にしており、人民元改革を今後も続けると見られます。年内のIMFの審査をクリアするため、基準値の2%の許容幅の段階的撤廃などが予想され、為替介入も経済が落ち着くにつれ、今後は縮小すると見られます。

■IMFの提言に沿い、改革を実施へ
IMFはまた、今後2年~3年をかけて、実質的な変動相場制への移行を提言した報告書で、「人民元は今や過小評価ではない」と指摘しました。安定した為替レートを実現し、人民元建て決済を推進するなど、人民元取引の自由化進展が期待されます。

(2015年9月15日)

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