米国の「物価」上昇率は低位安定(米国)

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米連邦準備制度理事会(FRB)の政策目標は、雇用の最大化と「物価」の安定です。このうち、雇用については失業率が完全雇用の水準といわれる5%近くまで低下しましたが、「物価」上昇率は目標とする+2%を依然として下回っています。ドル高の影響などを考慮すると、「物価」の目標達成にはまだ時間がかかり、想定される利上げのペースは緩やかとなる見通しです。

【ポイント1】「物価」上昇率は低位で安定

FRBの目標値+2%を下回る

■7月の個人消費支出デフレーター・コア上昇率は前年同月比+1.2%となりました。昨年7月の同+1.7%を直近のピークとして緩やかな下降トレンドを辿り、FRBの目標値+2%を下回っています。
■同月の物価動向を消費者物価指数(エネルギーと食品を除くコアCPI)上昇率で見ると、同+1.8%でした。これをサービスと財(モノ)に分けて見ると、サービス価格が同+2.6%だったのに対し、財価格は同▲0.5%でした。財価格は28カ月連続の値下り、しかも月を追うに従って下げ幅を拡大しています。

【ポイント2】サービス価格は労働需給、財価格は為替などの影響を受ける

サービス価格は上昇トレンドを持続、財価格はしばらく値下がりが続く見込み
■コアCPIの約75%を占めるサービス価格は、労働需給の逼迫度合いに応じて変動します。サービス価格の大部分を、人件費が占めているからです。労働市場の改善が続いているため、サービス価格は今後も上昇を持続する見込みです。

■他方、コアCPIの約25%を占める財価格は、為替相場の影響を受けます。消費財の多くを輸入に頼っていることが原因です。米国と海外との景況感格差から判断すると、現在のドル高はしばらく続く可能性が高いと考えられます。したがって財価格は引き続き低下基調を辿ると予想されます。

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【今後の展開】「物価」の落ち着きから、利上げのペースは緩やかなものになろう

■サービス価格の値上りにより、「物価」上昇率は今後、高まる見通しです。しかし、財価格の値下りが足を引っ張るため、「物価」上昇率が年内に+2%に到達する可能性は低いと考えられます。

■FRBは労働市場の改善を背景に、年内に利上げに着手すると予想されますが、「物価」上昇率が緩やかなため、利上げのペースは緩慢なものにとどまる見込みです

(2015年9月14日)

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