トルコは視界不良のまま「再選挙」へ(トルコ)

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与党公正発展党(AKP)は、6月の総選挙で過半数の議席を維持できなかったことから、連立を目指して複数の政党と交渉していました。しかし、エルドアン大統領の権限拡大を目指すAKPの方針などに他党は反発、交渉は物別れとなり、ダウトオール党首(暫定首相)は18日に組閣を断念しました。これを受けて同大統領は21日、議会の早期解散と11月1日の「再選挙」実施を表明しました。

【ポイント1】AKPの単独過半数は難しい状況

クルド系政党の支持率低下狙いは不発
■8月上旬に発表された世論調査によると、AKPの支持率は40%台前半にとどまり、クルド系政党(国民民主主義党、HDP)の支持率は10%を超えました。「再選挙」でも、HDPの議席獲得によりAKPの単独過半数は難しい情勢です。

■大統領やAKPの暫定政権がクルド系の民族運動に厳しく対処してHDPの抑え込みを図っていますが、効果は十分に出ていない状況です。政府の強硬姿勢への反発からテロ事件が続くなど副作用も見られ、政治情勢混迷の長期化が懸念されます。

【ポイント2】トルコ市場はトリプル安の傾向

景気不安が強まる
■政治や社会情勢の不安などを受け、足元では株式、債券、通貨がいずれも下落する、いわゆるトリプル安の傾向になっています。トルコ中央銀行(以下、中銀)は、通貨安による物価押し上げを警戒して金融引き締め政策を続けざるを得ない状況です。

■21日に発表された8月の消費者信頼感指数が約6年半ぶりの低水準になるなど、景気への不安は足元で強まっています。

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【今後の展開】政治的不透明感による通貨安には、中銀の安定化策を期待

■政治的不透明感が残る
首相を中心とする政府が実質不在のなか、エルドアン大統領の存在感が強まっているとの見方があります。しかし、こうした状況はAKPと野党の溝を深めることにもなりかねず、政治的不透明感は当面残りそうです。

■中銀の通貨安定化策に期待
中銀は18日、政策金利の据え置きに加え、通貨安定化策の強化を発表しました。政治や景気面からのリラ安圧力が続くなか、中銀によるドル売りの為替介入など通貨安定化策の効果が期待されます。

(2015年8月25日)

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