「ギリシャ第3次支援」の今後(欧州)

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欧州安定メカニズム(ESM)などによる最大860億ユーロの金融支援を柱とする「ギリシャ第3次支援」交渉が実質的にスタートしました。しかし、ギリシャ国内での追加の改革法制化を巡り早くも与党内で不協和音が聞こえ、また、債務負担の軽減を巡る欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の認識のズレもあり、合意への道のりはまだ長そうです。

【ポイント1】追加の改革法制化を巡り、与党内で不協和音

ギリシャは、薬局やパン屋の規制緩和などを法制化する必要
■「第3次支援」交渉は、開始の条件とされた一定の改革の法制化をギリシャが23日に終えたことで、スタートしました。ギリシャはさらに、一層の年金改革、閉鎖的な薬局やパン屋などの規制緩和、労働組合の団体交渉権の緩和などを進めることがEUから求められています。一方、これ以上の改革の法制化に難色を示すギリシャ与党内勢力もあるとの報道もあり、交渉が長期化する懸念が出ています。
■「第3次支援」の主な仕組みは、売却が困難とされるギリシャの公的資産を第三者機関(ファンド)に移管のうえ、売却することを柱としています。その売却予定資産のリストアップに際して、ギリシャ国民の反発が強まることが予想されます。

【ポイント2】IMFと債務削減方針でズレ

メルケル首相は元本削減に反対
■EUとIMFのギリシャ債務削減の考え方についてはズレがあります。IMFはEUによる債務削減を前提として、ギリシャへの追加支援を検討していると報道されています。
一方、ユーロ圏首脳会議では「第3次支援」による融資を実行したうえで、改めて債務負担の軽減を検討することとしました。債務の元本削減には最大の負担国となるドイツなどが強く反対しています。

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【今後の展開】「第3次支援」交渉合意による、金融市場の早期正常化を期待

■ギリシャの銀行営業再開は部分的
20日に業務を再開したギリシャの銀行ですが、外国送金などの業務は引き続き停止され、証券取引所も29日現在クローズしています。ギリシャのユーロ圏離脱シナリオは大幅に後退したものの、資本規制解除を含めた金融市場の正常化には、「第3次支援」交渉合意を待つ必要がありそうです。

■8月20日のECB返済は合意なくてもつなぎ融資
金融支援協議が8月20日のECBへの返済期日を過ぎても合意に至らない場合、50億ユーロ程度のつなぎ融資をEUが約束しています。ギリシャの追加の改革法制化が大幅に遅れ、再び市場が不安定化しないよう、早期の合意が期待されます。

(2015年7月30日)

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