「モンスーン」と利下げの関係(インド)

2015/06/24

<今日のキーワード>「モンスーン」と利下げの関係(インド)

インド準備銀行(RBI)のラジャン総裁は、6月に利下げを実施した際、天候による食品価格の動向を、追加利下げの重要なポイントの一つとして挙げました。消費者物価指数全体の39%を食品が占めており、食品価格の動向が物価全体と金融政策にとって重要です。「モンスーンシーズン(雨季)」の雨量は、野菜などの作柄に影響するため、食品価格と金融政策を占ううえで注目度が増しています。

【ポイント1】「モンスーンシーズン」当初の降雨量は、予想に反し平年を上回る

食品価格の安定と追加利下げへの期待が高まる

■昨年の「モンスーンシーズン」(6月~9月)当初の降雨量は、平年の60%程度となり、物価高につながりました。今年6月2日に気象庁が発表した今シーズンの降雨量の予想は、平年の88%と低めで、市場の利下げ期待が後退した要因の一つになりました。
■気象庁が毎週発表する実際の降雨量は、6月17日までで平年を約11%上回っています。シーズンは始まったばかりですが、食品価格の安定と追加利下げへの期待が高まりつつあります。

【ポイント2】政府の穀物買取価格も物価安定要因

穀物の最低支持価格の伸びは低めに

■政府は6月17日、今年の夏穀物の最低支持価格(MSP)を発表しました。コメの設定価格が前年比+3.7%と、前年(同+3.8%)並みに抑えられ、物価安定要因の一つになるとの見方が広がりました。
■これまで、農業者への政治的配慮から、MSPが高めに設定されることがありましたが、現政権下ではそれが抑制されています。

 150624MK

【今後の展開】食品価格の安定に加え、改革法案の成立が利下げに重要

■ 順調な降雨で利下げ期待がさらに高まる
5月の消費者物価指数は、前年同月比+5.0%と、RBIの2016年1月の物価目標同+6.0%を下回っています。順調な降雨が続き、食品価格が安定する見込みが強まれば、追加利下げ期待はさらに高まると思われます。

■改革法案の成立も利下げへの重要なカギ
ラジャン総裁は、政府の経済・財政構造改革の進捗にも注目しています。財・サービス税(GST)導入や土地収用法案の成立は物価安定にもつながるため、利下げへの重要なカギになると見られます。次期国会(7月~8月)に向けて与野党が対話機運を強めており、それらの成立が注目されます。

(2015年6月24日)

印刷用PDFはこちら

→http://www.smam-jp.com/market/report/keyword/__icsFiles/afieldfile/2015/06/23/150624mk.pdf
 

関連マーケットレポート

2015年06月11日 「ラジャン総裁」は改革と天候に注目(インド)

2015年06月03日 インド中銀、今年3度目の利下げ

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ