『東証再編』に向け、企業の取り組みが加速
『東証再編』に向け、企業の取り組みが加速
東京証券取引所(以下、東証)の株式市場は現在、「市場第一部」、「市場第二部」、「マザーズ」、「ジャスダック」の4市場に区分されていますが、これらは2022年4月4日より、「プライム」、「スタンダード」、「グロース」という3つの新しい市場区分へ再編されます。『東証再編』に対処すべく、自社株買い、株式の持ち合い解消や親子上場の解消など企業の取り組みが加速し始めており、注目されます。 |
【ポイント1】『東証再編』に向け、プライム市場の基準確保のため取り組みが加速
■東証は2022年4月に『東証再編』を実施します。全上場企業について、新市場区分の上場維持基準への適合状況を調べる1次判定を行い、7月9日に各社へ通知しました。市場第一部に上場する約30%にあたる664社が新たに最上位となるプライム市場への基準を満たしていませんでした。
■プライム市場に入るには、流通株式の比率で35%以上、流通株ベースの時価総額で100億円以上が必要となります。このため、流通株式の引き上げにつながる既存株主の売り出し、株式持ち合いの解消、非流通株となる自社株の消却、自社株買いによる時価総額引き上げや上場維持が難しい親子上場の廃止などの取り組みが加速し始めました。
■トヨタ紡織は大株主であるトヨタ自動車の同社株売却により、流通株比率35%を充足した他、日立物流は発行済株式総数に対する6.2%となる大規模の株式消却により流通株比率35%を充足しました。ソーダニッカは政策保有株式の縮減に伴い、同社としては初の自社株買いを行ないました。
■親子上場子会社において、将来的に上場コストの上昇や上場維持が困難になる可能性があることなどを背景に川重冷熱工業、セコム上信越などが上場廃止を選択しました。
【今後の展開】『東証再編』に対する企業の取り組みは株価の追い風
■『東証再編』に対処するため、既存株主の売り出し、株式持ち合いの解消、非流通株となる自社株の消却、自社株買い、親子上場の廃止などの動きがさらに加速していくとみられています。これらは、流通株比率、時価総額の引き上げを目的としており、多くの場合対象企業の株価上昇につながるとみられます。特に親子上場の解消の場合30%程度のプレミアムが子会社に付く傾向があります。プライム市場の基準を満たさない企業中心にかなりの割合の企業が取り組みを進めると予想され、市場参加者の注目は高まっています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2021年8月20日)
印刷用PDFはこちら↓
関連マーケットレポート
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会