原油市場の2020年の振り返りと今後の見通し 需要回復により緩やかな上昇予想も、協調破綻がリスク

2020/12/04

原油市場の2020年の振り返りと今後の見通し

【ポイント1】新型コロナから回復後は40米ドル近辺で推移

今年は25%下落

■2020年の原油市場は新型コロナの影響を大きく受けた一年となりました。北米の代表的な原油指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は、年初61.18米ドルでスタートしましたが、新型コロナの感染拡大と世界経済への影響が深刻化するにしたがい下げ足を速め、産油国による大規模減産の決定にも拘わらず、4月20日には▲37.63米ドルと史上初のマイナス価格になりました。

■その後、各国で経済活動再開の動きが始まったことなどからWTIは上昇に転じ、6月以降は40米ドルを挟んだ動きとなりました。足元、新型コロナワクチンに対する期待から46米ドル弱となっており、ここまでの年間騰落率は▲25%です。

【ポイント2】OPECプラスは新型コロナ感染再拡大を受け、減産縮小を小幅に

■石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスは、調整に手間取り開催が2日遅れた12月3日の会合で、「1月から現状行われている減産規模を日量50万バレル縮小し、同720万バレルにすること」、「1月以降毎月閣僚協議で、翌月の減産を縮小幅50万バレルの範囲内で見直すこと」で合意しました。元々は同190万バレル縮小する計画でしたが、新型コロナの感染再拡大によって需要回復が鈍っていることに対応しました。

【今後の展開】協調前提に緩やかな上昇を予想

■足元、新型コロナ感染再拡大による景気回復の遅れが懸念されていますが、新型コロナワクチンの実用化による経済活動の正常化に対する期待も強まっています。弊社では各国・地域の積極的な金融・財政政策とワクチンの普及を背景に、21年の世界経済は+6.1%成長と、今年の▲3.9%から大きく回復すると予想しています。

■このような経済活動の回復を背景に原油価格も上昇圧力がかかりますが、先進国のGDPが2019年水準に達するのは21年半ばから2022年にわたる見込みであり、そのスピードは緩やかなものに留まると考えられます。また、来年は需要回復に伴い産油国の減産縮小が進みますが、協調体制が崩れると波乱の展開もありそうです。

(2020年12月4日)

印刷用PDFはこちら↓

原油市場の2020年の振り返りと今後の見通し 需要回復により緩やかな上昇予想も、協調破綻がリスク

関連マーケットレポート

2020年11月25日 3万ドル乗せとなったダウ工業株30種平均

2020年8月20日 原油価格は底堅く推移(2020年8月)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ