電気自動車(『EV』)の実用化でも米中対立

電気自動車(『EV』)の実用化でも米中対立

米中対立は今やメディアで取り上げられない日がないくらいに激化しています。このところ米国側のハイテク分野での対中強硬姿勢が目立っていますが、これは中国の技術開発の早さに対する米国の警戒心の表れだと考えられます。本稿では、中国の台頭が目立ってきている技術分野に焦点を当て、シリーズとして現在の米中の開発状況を確認してみます。2回目となる今回は、電気自動車(『EV』)です。

【ポイント】電気自動車(『EV』)はテスラが強いが、市場拡大は中国が先行

■電気自動車(『EV』)は、各国・地域における環境規制の強化や『EV』普及政策に加え、走行距離を向上させた本格的なモデル投入が進んだことから、ここ数年、急速に販売台数が増加しています。特に、中国は『EV』を中心とした自動車産業育成政策を実施しており、圧倒的な市場拡大が進んでいます。一方、『EV』の販売台数をメーカー別・モデル別でみると、トップは米国テスラ・Model3となっており、その性能・デザイン・価格が評価されています。

【今後の展開】中国『EV』はコア技術のブラッシュアップなどで更なる成長を目指す

■中国では、『EV』を中心とした新エネルギー車は「中国製造2025」の重点分野として掲げられており、中国工業情報化部によると、新エネルギー車の年間販売は、2025年に700万台を突破するとされています。しかし、2019年に新エネルギー車への補助金が縮小したことに加え、テスラは上海新工場を稼働させたことにより、2020年6月の同社の販売台数が中国『EV』市場の25%近くを占めるなど攻勢を強めており、拜騰(バイトン)、博郡汽車(Bordrin Motors)、江蘇賽麟汽車の3社が当面国内事業を停止するなどマーケットシェアの変動が続いています。中国『EV』にとって更なる成長に向けポイントとなるのは、コア技術のブラッシュアップ、部品供給網の整備・確立にどれだけ注力し、現行のポジションの伸長を図れるかにあると思われます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2020年10月21日)

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電気自動車(『EV』)の実用化でも米中対立

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