アジア・オセアニアのリート市場は回復続く 感染第2波を警戒も経済活動再開を織り込む

2020/07/10

アジア・オセアニアのリート市場は回復続く

【ポイント1】アジア・オセアニアリートは堅調

経済活動再開を織り込む

■足元のアジア・オセアニアのリート市場はすべての地域で上昇しました。香港も反発に転じました。7月7日現在、アジア・パシフィック・リート指数(除く日本、現地通貨ベース)は5月末比+3.5%、香港は同+14.6%、シンガポールは同+3.2%、オーストラリアは同+0.8%となりました。

■香港は、中国政府の香港に対する関与を強める国家安全法を嫌気した5月の下落が押し目買いの好機とみられ上昇しました。シンガポールではサーキットブレイカーと呼ばれる厳格な外出規制の解除、オーストラリアでは低金利政策の継続などが下支えとなり、経済活動再開を織り込んだ上昇の動きが続きました。ただし、新型コロナ感染第2波や世界経済減速に対する懸念から、上昇は緩やかなものとなっています。

【ポイント2】ネット販売需要高まり、物流施設、データセンターの選好続く

■セクター別の傾向をみますと、シンガポール、オーストラリアのリート市場では引き続きデータセンターや物流施設に投資するリートが選好されやすいとみられます。イーコマース事業者大手のアマゾンは、オーストラリアに超大型の物流施設を拡張することを示しました。オーストラリアでもネット販売の需要が加速度的に高まっており、効率的な物流体制の整備が急がれています。

【今後の展開】割安銘柄の見直しや、香港のデモ鎮静化に注目

■シンガポール、オーストラリアのリート市場では、段階的に商業施設等の営業が再開される中で、過度にバリュエーション(価格評価)が低下した大手商業施設リートや住宅リートを中心とする割安銘柄への見直しが注目されます。オーストラリア政府は6月に新規住宅購入や増改築に対する補助金を発表しました。販売活性化に繋がれば住宅リートの支援材料になるとみられます。

■香港リート市場については、6月30日に香港国家安全法が施行され、暴力的なデモが減少するとみられるため底堅い推移を予想します。香港では、2019年3月の逃亡犯条例改正への反対を契機に断続的に国民のデモ活動が起き、香港リートが保有する商業施設等の営業にも影響を与えました。香港への証券投資を控える要因にもなっていたことを考慮すると、本件はひとつの転換点になりうると考えます。

(2020年7月10日)

印刷用PDFはこちら↓

アジア・オセアニアのリート市場は回復続く 感染第2波を警戒も経済活動再開を織り込む

関連マーケットレポート

2020年7月7日 リート市場の振り返り(2020年6月)

2020年6月8日 アジア・オセアニアのリート市場は香港を除き反発継続

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ