アジア・オセアニアのリート市場は香港を除き反発継続 経済再開への期待で投資家心理改善

アジア・オセアニアのリート市場は香港を除き反発継続

【ポイント1】アジア・オセアニアリートは堅調

経済再開への期待高まる

■足元のアジア・オセアニアのリート市場は香港を除くすべての地域で上昇しています。6月5日現在、アジア・パシフィック・リート指数(除く日本、現地通貨ベース)は4月末比+8.1%、シンガポールは同+9.9%、オーストラリアは同+11.8%となりました。先進国等で新型コロナ感染拡大ペースが鈍化し、各国で都市封鎖の解除などの動きがみられ、経済活動再開への期待から、金融市場全般でリスク選好度が高まったことが背景です。その他、オーストラリアは経済活動が再開に向かう中、高成長が見込まれる産業施設リートを中心に上昇しました。シンガポールは、世界的な金融緩和を背景に相対的な利回りの高さから買われました。

■一方、香港は、中国全人代で「国家安全法」導入の方針が採択されたことが嫌気され、同▲5.0%と下落しました。

【ポイント2】中長期的にデータセンター、物流施設の選好が続く

■セクター別の傾向を見ますと、中長期的には引き続きデータセンターや物流施設に投資するリートが選好されやすいとみられます。シンガポールのデータセンターのリートは、多くのリートが減配を余儀なくされる中でも好調な業況でした。世界的なサーバー需要の増加を背景に注目が続くと考えます。

【今後の展開】投資家目線はウィズコロナの経済動向へ、割安銘柄の買い戻しが見込まれる

■シンガポールおよびオーストラリアのリート市場では、短期的には割安銘柄の見直し買いが見込まれます。足元の景気は振るわないものの、投資家の目線は「ウィズコロナ」「アフターコロナ」の経済動向にシフトしています。その中では、新型コロナ感染拡大の影響が危惧され、短期的に過度に割安となった大手商業施設リートや住宅リートを中心に、買い戻しが見込まれます。

■一方、香港リート市場については、中国との地政学的な問題が再燃して相場の重石となる可能性があります。また、今後の経済活動やリート市場の動向は、新型コロナ感染拡大の第2波などの影響によっては再度調整する可能性もあるため、注意が必要です。

(2020年6月8日)

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