『街角景気』は回復続くも、ペースは遅い

『街角景気』は回復続くも、ペースは遅い

「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。12月の『街角景気』では、足元の景況感を示す現状判断指数(DI)は回復傾向が続きましたが、改善幅はわずかで増税前の水準に戻っていません。先行きについては、持ち直しへの期待がやや弱まりました。

【ポイント1】現状判断DIは前月比+0.4ポイントの小幅上昇で39.8

先行き判断DIは▲0.3ポイントの45.4と、3カ月ぶりに低下

■2019年12月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比+0.4ポイントの39.8となりました。2カ月連続の上昇でしたが小幅な上昇に留まり、増税前の40台には戻っていません。項目別では家計動向関連や雇用関連がわずかに低下した一方で、企業動向関連が改善しました。非製造業は前月から横ばいでしたが、悪化が著しかった製造業が+3.9ポイント改善しました。半導体関連設備の回復が背景とみられます。

■先行き判断DIは前月比▲0.3ポイントの45.4と、3カ月ぶりに低下しました。項目別では企業動向関連、雇用関連がやや上昇しましたが、家計動向関連が同▲1.0ポイントと全体の足を引っ張りました。消費増税や暖冬の影響とみられます。

【ポイント2】現状コメントは「消費税」が高水準

通商問題に高い関心

■街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントにおける単語の使用数は、ネガティブな単語がポジティブな単語を3カ月連続で上回りましたが、両者の差は縮小しました。「消費税」は減少傾向も依然高水準です。

■先行き判断については、ポジティブな単語がネガティブな単語を2カ月連続で上回った一方で、その差は縮小しました。こちらも「消費税」は減少傾向ながら依然高水準です。通商問題にかかわる用語も引き続き高い関心を集めています。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

【今後の展開】景況感は持ち直しもペースは遅く、回復への期待やや弱まる

■内閣府は『街角景気』について、「このところ回復に弱い動きがみられる」との表現を据え置きました。先行きについても「海外情勢等に対する懸念もある一方、持ち直しへの期待がみられる」との見方を維持しました。12月の『街角景気』は、足元の景況感は持ち直したものの、そのペースは遅く、先行きについては回復への期待がやや弱まりました。公共投資や東京オリンピックなどへの期待がみられる一方、消費増税や暖冬への懸念が強く、当面は強弱感が拮抗する状況が続くとみられます。

(2020年1月15日)

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