米雇用統計は下振れも基調は底堅い 緩和環境が株式市場をサポート

米雇用統計は下振れも基調は底堅い 緩和環境が株式市場をサポート

【ポイント1】雇用者数は予想を下回る伸び

雇用の基調は底堅い

■2019年12月の米非農業部門雇用者数は前月比14.5万人増となり、市場予想の同16.0万人増をやや下回る伸びとなりました。過去分の下方修正は微修正にとどまり、大きく伸びた前月の反動はあまりみられなかったことを踏まえると概ね良好な結果でした。

■19年の雇用者数の伸びは月平均で17.6万人となりました。前年の22.3万人からは鈍化したものの、労働力人口の増加ペースが10~15万人程度であることを踏まえると、生産調整が大きく進展した中でも19年の雇用は堅調だったといえます。

【ポイント2】賃金上昇ペースは鈍化

失業率は約50年ぶり低水準を維持

■12月の賃金は前年同月比2.9%増と前月から鈍化しました。失業率は3.5%と約50年ぶりの低水準を維持しています。労働市場が拡大する一方で賃金の伸びが鈍化していることは企業業績が減速する中で、企業が経済環境に沿ってうまく雇用コストをコントロールしているためと考えられます。

【今後の展開】緩和環境が株式市場をサポート

■10日の米国市場では、雇用統計を受けて米景気への強気な見方がやや後退し、債券市場で長期金利が低下しました。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、利上げには持続的かつ有意な物価上昇が必要と述べており、市場では賃上げ圧力の鈍さから利上げへのハードルが高いことが改めて意識されたとみられます。FRBによる金融緩和政策は株式市場にとって引き続き支援材料になると考えられます。

■米国市場では主要企業の決算発表が本格化します。米中貿易協議での第一段階の部分合意や、景気の持ち直しを受けて企業業績が回復局面に転じると見込まれるため、株式市場への資金回帰が期待されます。一方、米国とイランの対立においては、全面的な軍事衝突となるリスクはある程度抑制されたものの、緊張状態が続くとみられるため景気・企業業績への影響には注視が必要です。

(2020年1月14日)

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