2019年の世界株式市場の振り返り 金融緩和と米中通商交渉の進展期待で上昇

2019/12/27

2019年の世界株式市場の振り返り 金融緩和と米中通商交渉の進展期待で上昇

【ポイント1】米国株式市場は最高値更新

金融緩和と米中交渉進展期待

■2019年の世界の株式市場は堅調な展開となりました。米中通商交渉の進展期待や、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和政策への転換観測などから、年初から4月にかけ上昇しました。その後、5月や8月にトランプ大統領が中国への追加関税引き上げを示唆したことで調整する場面がありましたが、FRBが7月以降3会合連続で利下げを行ったことや、米中通商交渉の進展期待が高まったことから年末にかけて上昇基調を辿りました。

■12月に入り、米中が通商協議で「第1段階」の合意に達したことや英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる不透明感が後退したことで、株価の高値更新が相次いでいます。NYダウなどの米国株式や欧州株式(ストック600)は過去最高値を更新しました。日経平均株価は年初来高値を更新しました。

【ポイント2】新興国市場も上昇

投資家のリスク選好姿勢強まる

■株高は先進国にとどまらず、インド、ブラジル、ロシアなど新興国にも広がりました。FRBが金融緩和に舵を切ったことで、各国の中央銀行が相次いで利下げするなか、投資家のリスク選好姿勢が強まり、新興国市場にも資金が流入しました。インドやブラジルの株価は過去最高値を更新し、ロシア株の年初来上昇率は4割を超えました。

【今後の展開】世界景気拡大と低金利環境を背景に堅調維持

■米中が通商協議において「第1段階」の合意に達したことで貿易摩擦に歯止めがかかり、2020年の世界経済は持ち直すことが見込まれます。ただし、低インフレは継続するため、FRBは2020年にわたり、現状の政策金利を据え置くとみられます。世界景気の拡大と、世界的な低金利環境が続くなか、投資家のリスク選好姿勢は継続すると考えられ、引き続き株式市場に資金が流入しそうです。米大統領選挙などの波乱要因はあるものの、2020年の世界の株式市場は好環境を支えに堅調を維持するとみられます。

(2019年12月27日)

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