今年を振り返るキーワード4 社運をかけた大型『M&A』が増加

今年を振り返るキーワード4 社運をかけた大型『M&A』が増加

国内企業は、かつては事業の育成は自社で行い、合併・買収(『M&A』)などによる事業再編には慎重でした。ところが昨年に大きく加速した日本企業の『M&A』は今年も高水準を維持し、規模の拡大、海外開拓、新技術などを狙い社運をかけた大型買収や合併に踏み切る事例がみられました。こうした動きへの株式市場の関心も高まっています。ここでは、特に強いインパクトを与えた事例を振り返ってみたいと思います。

【ポイント1】日本企業は大型『M&A』が加速

■昨年に大きく加速した日本企業の『M&A』は今年も医薬品、食料品、化学などを中心に高水準を維持し、社運をかけた大型買収や合併に踏み切る事例がみられました。背景には経済の高成長が期待できないことや海外企業との競争が激化したこと、技術革新により商品のライフサイクルが短期化したこと、物言う株主など投資家からの企業価値向上に対する要求が強まったことなどがあります。

【ポイント2】アサヒなどが大型買収実施

■7月19日、アサヒグループホールディングスはビール世界最大手、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)からオーストラリア事業を買い取ると発表しました。「日欧豪の3極でビール事業の基盤を構築する」との戦略にそった買収で、価格は1.2兆円と同社にとって過去最大となります。今回の買収で事業利益(国際会計基準)の約半分を海外で稼ぐ体制の確立を目指します。

■総合化学メーカーの昭和電工は、12月18日に親子上場の解消を進める日立製作所のグループ子会社である日立化成をTOB(株式公開買い付け)を通じて2020年3月までに全株式を買い取ると発表しました。買収総額は9,600億円超になる見通しで、買収額は同社の連結売上高(約9,900億円)に近い額となり社運をかけた買収になります。次世代通信規格「5G」や電気自動車の普及を踏まえて、TOBにより素材にとどまらない部品やサービスまで幅広い領域を手掛ける企業を目指す方針です。

【今後の展開】今後も『M&A』は増加の方向

■株式市場の『M&A』への関心は高く、本業との補完効果はあるか、買収後は投資に見合う利益を長期にわたり生み出せるか、買収価格は適正かなどに注目しています。過去の企業買収をみると必ずしも成功確率が高いとは言えませんが、海外企業が『M&A』などを通じて企業規模を拡大していく中、対抗していく手段として踏み切る企業は今後とも増加すると考えられます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2019年12月25日)印刷用PDFはこちら↓

今年を振り返るキーワード4 社運をかけた大型『M&A』が増加

関連マーケットレポート

2019年12月23日 今年を振り返るキーワード3『逆イールド』

2019年12月20日 今年を振り返るキーワード2『自然災害』

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会