『街角景気』は回復へ、消費増税の影響薄らぐ

『街角景気』は回復へ、消費増税の影響薄らぐ

「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。11月の『街角景気』では、足元の景況感を示す現状判断指数(DI)は、増税後の落ち込みから回復しましたが、戻りは弱く増税前の水準には戻っていません。一方、先行きについては持ち直しへの期待がみられます。

【ポイント1】現状判断DIは前月比+2.7ポイントの39.4へ上昇も低水準

先行き判断DIは+2.0ポイントの45.7と、2カ月連続で上昇

■2019年11月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比+2.7ポイントの39.4でした。前月10月の消費増税後の落ち込みからは回復したものの、戻りは弱く増税前の40台には戻っていません。項目別では家計動向関連の反発が全体を牽引しました。キャッシュレス決済利用客の増加や増税の影響が薄れたことが改善理由として挙げられています。企業動向関連、雇用関連は前月から低下しました。

■先行き判断DIは前月比+2.0ポイントの45.7と、10月に続き上昇しました。項目別では家計動向関連、雇用動向関連が上昇しました。増税の反動減から回復が見込まれる、などが判断理由として挙げられました。一方で、海外需要の低迷などから企業動向関連は低下しました。

【ポイント2】現状コメントは「節約」が高止まり

先行きは「節約」、「不安」が減少

■街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントにおける単語の使用数は、「不安」、「悪い」などのネガティブな単語がポジティブな単語を2カ月連続で上回りました。「節約」にかかわる用語は依然高水準です。

■先行き判断については、ポジティブな単語がネガティブな単語を5カ月ぶりに上回りました。「節約」や「不安」にかかわる用語の減少が続いた一方で、「貿易摩擦」にかかわる用語は高水準が続きました。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

【今後の展開】緩やかながら景況感は持ち直しへ、回復への期待がみられる

■内閣府は『街角景気』について、「このところ回復に弱い動きがみられる」との表現を据え置きました。先行きについても「海外情勢等に対する懸念もある一方、持ち直しへの期待がみられる」との見方を維持しました。11月の『街角景気』はDIは上昇したものの回復力は弱く、特に海外需要低迷などから製造業の弱さが目立ちました。足元の景況感の持ち直しは緩やかですが、先行きについては回復への期待がみられ、『街角景気』を見る限りでは、景気が腰折れしている可能性は低いと思われます。

(2019年12月10日)

印刷用PDFはこちら↓

『街角景気』は回復へ、消費増税の影響薄らぐ

関連マーケットレポート

2019年12月 9日 安倍政権の経済対策が景気と株価に与える影響について(市川レポート)

2019年11月12日 『街角景気』は大幅低下も先行きは回復期待

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会