9月のアジア・オセアニアリートは各市場で異なる動き 業績動向などは引き続き堅調

9月のアジア・オセアニアリートは各市場で異なる動き

【ポイント1】3市場でまちまち

為替はプラス寄与

■9月末時点のアジア・オセアニアのリート市場は、現地通貨ベースでシンガポールが前月比+0.9%と上昇しました。一方、オーストラリアは同▲3.0%、香港が同▲1.4%と下落しました。

■円ベースの騰落率では、米中協議の進展期待の高まりなどを受けて円安が進行したため、為替はプラスに寄与し、シンガポールは同+3.0%、オーストラリアは同▲1.1%、香港は同+0.3%となりました。

■シンガポールは、リートによる資本調達と物件取得の動きが活発化し、その内容が評価されて上昇しました。香港は、デモが収束に至らず長期化していることが重石となりました。オーストラリアは利益確定売りに加えて、主要銘柄が世界的な不動産証券指数から除外されたことが押し下げ要因となりました。

【ポイント2】低金利環境は引き続き追い風

■アジア・オセアニアリートの配当利回りと長期金利の利回り格差は、2%半ば~3%半ば程度となっています。世界的な低金利環境は、相対的に利回りの高いリート市場にとって引き続き追い風となりそうです。

【今後の展開】市場ごとにばらつきあるものの、底堅さは維持

■アジア・オセアニアリートは、良好な業績動向やディフェンシブ性が相対的に着目され、底堅く推移すると見られます。シンガポールは、低金利環境を支えに堅調さが続くと期待されます。香港は、リートの価格調整は一段落しつつありますが、社会的混乱の収束を待つ必要があります。香港の8月小売売上高は前年比で大幅に下落しましたが、日用品を主力とするスーパーマーケット部門は前年比増加を維持しており底堅さを見せています。他方、香港の情勢不安をきっかけに、オフィス需要や観光需要などが中期的にシンガポールなどへシフトする可能性があります。オーストラリアは、安定的な推移が続くと見られます。9月に主要銘柄が世界的な不動産指数から除外されたことが下押し要因の一つとなりましたが、これは一時的と考えられます。物流やオフィス市況は好調で、関連セクターのリート業績見通しは底堅いと見られます。

(2019年10月 8日)

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