当面の日本株を『需給関連指標』から見ると?
当面の日本株を『需給関連指標』から見ると?
日経平均株価は、21,000円台を中心に、米中貿易交渉の状況などに左右され、上昇、下落を繰り返し方向感の定まらない展開が続いています。こうしたなか、海外投資家の高水準の先物売りなどによってネット裁定残高は急減、高水準の空売り比率が続き空売りも蓄積しています。ここではネット裁定残高や空売り比率などの『需給関連指標』に注目して、株式市場について検証してみたいと思います。 |
【ポイント1】不透明感が強い局面では『需給関連指標』が有効
ネット裁定残高、空売り比率などに注目
■株式市場が外部環境の不透明感などから方向感の定まらない動きとなっています。こうした局面では投資家心理や短期的な投資家のポジションの偏りなどをネット裁定残高や空売り比率などの『需給関連指標』で分析すると、今後の株式市場の動向を探る手がかりになると思われます。投資家心理が過度に弱気となり、ショートポジションに偏っている時は、ネット裁定残高は急減、空売り比率は上昇する傾向があります。
空売りも蓄積
■ネット裁定残高は先物買いが活発な局面では先物が割高になり増加、下落時は反対の動きとなり、通常は5~20億株程度で推移します。現状は海外投資家の高水準の先物売りなどによって7月2日には▲1.78億株と過去最低水準にあります。
■ネット裁定残高のマイナスは、国内大手銀行が破綻・一時国有化された1998年と、英国が欧州連合(EU)離脱を決めた2016年、及び2018年に示現しました。1998年と2016年の局面では、その後日経平均株価は6,000円以上の上昇となりました。
■空売り比率は一般に40%を超えると高水準とされます。3月5日から、7月4日まで40%超が81日継続中で、将来の買い戻しをもたらす空売りが蓄積していると言えます。
【今後の展開】株価反発へのエネルギーは蓄積
■株式市場は外部環境から見ると、米中貿易摩擦の動向など不透明感は残りますが、先物や空売りの買い戻しによる反発へのエネルギーは過去最高に近い水準まで蓄積されていると考えられます。本格的な上昇トレンドとなるかは未知数ですが、『需給関連指標』からは少なくとも値幅を伴ったテクニカルな上昇は期待できるとみられます。
(2019年7月8日)
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