ブラジルの金融政策:年金改革にらみ現状維持(2019年6月)政策金利据え置き、年金改革の進展見守る
ブラジルの金融政策:年金改革にらみ現状維持(2019年6月)
市場の予想通り
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、6月19日の金融政策委員会で、政策金利を6.50%で据え置くことを全会一致で決定しました。政策金利据え置きは10会合連続で市場の予想通りでした。
【ポイント2】物価は目標の範囲内
■足許のインフレ率は中銀の目標範囲(4.25%±1.5%)内で推移しています。ブラジルの2019年1-3月期の実質GDP成長率は前期比▲0.2%のマイナス成長となり、景気は悪化傾向にあります。
■声明では、昨年後半から低成長が続いているものの、今後は緩やかな景気回復に向かうとの見方が示されました。但し、外部要因として世界経済の減速リスク、内部要因として年金改革法案の先行き不透明感からインフレが上向くリスクを指摘し、現時点では年金改革を巡るリスクが高いと述べています。今後の金融政策については経済活動やインフレ等の状況次第としました。
【今後の展開】ブラジルレアルは底堅く推移
■中銀は、弱い経済と年金改革法案の進展を巡る政治的な不透明感の間で難しい調整を強いられています。年金改革法案は議会での審議が継続しており、今後の動向が注目されていますが、米国などの先進国をはじめ世界的に利下げ圧力が高まっている中、市場の一部では中銀が国内景気支援のため年内に利下げを行うとの見方もでています。
■レアルは引き続き、年金改革法案を巡る政治的な動向や、ハト派的な姿勢を強めた米国の金融政策動向などの外部環境に左右される展開が見込まれます。但し、年金改革法案に徐々に進展がみられることや、米国など各国中銀の金融緩和姿勢を背景としたブラジルの相対的な金利の高さがレアルを支えると考えます。
(2019年6月21日)
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