一段と減速した中国経済(2019年6月) 生産、投資が下振れ、引き続き米中協議に注目
一段と減速した中国経済(2019年6月) 生産、投資が下振れ、引き続き米中協議に注目
民間投資の伸びが鈍化
■中国国家統計局は14日、主要経済指標を発表しました。1~5月の固定資産投資は前年同期比+5.6%と市場予想の同+6.1%を下回り、1~4月(同+6.1%)から大きく減速しました。
■固定資産投資の内訳をみると、約6割を占める民間投資が同+5.3%と、1~4月(同+5.5%)から伸びが鈍化しました。米中貿易摩擦の激化が民間企業の投資意欲を抑制しているとみられます。
小売売上高は前月から大きく反発
■5月の鉱工業生産は前年同月比+5.0%と市場予想の同+5.4%を下回り、4月(同+5.4%)から伸び率が縮小しました。製造業の景況感が悪化するなか、特に自動車生産が同▲21.5%と、大きく落ち込みました。
■5月の小売売上高は前年同月比+8.6%と、市場予想の+8.1%を上回り、4月(同+7.2%)から反発しました。4月に大きく落ち込んだ反動が出たものとみられます。
【今後の展開】中国政府は財政政策を拡大、米中協議の進展に期待
■5月の主要経済指標をみると、米中貿易摩擦の緊張が高まり景況感が悪化したことを反映し、生産や投資が下振れしました。米中間で何らかの合意に至るまでは景況感は大きく改善しない可能性があります。
■中国政府は景気下振れリスクを認識しており、インフラ投資を中心に景気対策を従来より加速させる準備を進めているとみられます。財政政策によって経済成長率を少なくとも6%近辺にとどめるだけの財源は十分にあると考えられます。引き続き、米中首脳会談の実現などを通して両国が歩み寄り、米中協議が進展することが期待されます。
(2019年6月17日)
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