堅調さが続くアジア・オセアニアのリート市場(2019年6月)ディフェンシブ性が着目され、選好されやすい展開となろう
堅調さが続くアジア・オセアニアのリート市場(2019年6月)
【ポイント1】3市場とも年初来で上昇
■5月末時点のアジア・オセアニアのリート市場は、年初来でシンガポールが+13.0%、香港が+17.9%、オーストラリアが+14.8%となりました。
■米中貿易摩擦の再燃から株式が調整するなど世界的にリスク回避の動きが広がる中、リートは景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ性が着目されて底堅く推移しました。一方、円ベースの騰落率で見ると、安全通貨とされる円を買う動きが優勢だったことから、3市場とも為替はマイナスに寄与しました。
【ポイント2】世界的な金利低下が追い風
■世界的な景気減速懸念等を背景に、主要国の中央銀行が金融政策スタンスを緩和させていることもリート市場の追い風となりました。オーストラリアでは、豪準備銀行が6月4日に政策金利を1.25%へ引き下げており、追加利下げが実施される可能性もあります。香港、シンガポール市場でも10年国債利回りが低下しており、リートの配当利回り格差は前月比で拡大しています。
■一方、アジア・オセアニアではオフィス需要の高まりなどから、新規物件取得による成長や賃料上昇による業績拡大を通じた、安定した収益の伸びが期待できます。香港最大手のリートでは18年度決算の一口当り分配金成長率が前年比+8.6%となり、19年度も10%前後の高い分配金成長が見込まれます。
【今後の展開】高い利回りやディフェンシブ性から選好されやすい展開が続こう
■世界的な金利低下や貿易摩擦への懸念等から株式などが選好されにくい状況において、アジア・オセアニアリートの良好な業績動向やディフェンシブ性が着目されやすい展開は続くと見られます。景気の先行き不透明感などが一時的にリート市場の重石となる可能性はありますが、アジア・オセアニア地域ではオフィスを中心に不動産市況は改善基調にあり、収益獲得機会はさらに広がっていくと考えられます。
(2019年6月14日)
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