『街角景気』は先行きが大幅悪化
『街角景気』は先行きが大幅悪化
「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。2019年5月の『街角景気』は、足元の景況感を示す現状判断指数(DI)、先行きを示す先行き判断DIともに悪化しました。米中貿易摩擦や消費増税への懸念から、特に先行き判断DIは大幅に悪化しました。 |
【ポイント1】現状判断DIは前月比▲1.2ポイントと、2カ月ぶりに悪化
先行き判断DIは▲2.8ポイントと、大幅に悪化
■2019年5月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比▲1.2ポイントの44.1でした。景況感は2カ月ぶりに悪化し、18年1月以来、景気判断の節目となる50を下回っています。項目別にみると、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のDIとも前月から悪化しました。家計動向関連は飲食関連や住宅関連の低下が目立ちました。企業動向関連は製造業、非製造業ともに低下しました。
■先行き判断DIは前月比▲2.8ポイントの45.6と、大幅に悪化しました。項目別にみると、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連とも低下しました。米中貿易摩擦や消費増税への懸念が影響したとみられます。
【ポイント2】現状のコメントは「節約」や「不安」が高水準
■街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントにおける単語の使用数は、「節約」や「不安」にかかわる用語が高水準で推移しており、家計の消費に対する慎重姿勢がうかがえます。
■一方、先行き判断については、「通商問題」にかかわる用語の使用数が急増しており、企業の米中貿易摩擦に対する警戒がうかがえます。また、「消費税」にかかわる用語も増加しており、消費税引き上げへの不安も高まっているようです。
(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。
【今後の展開】“回復”の基調判断は据え置かれたものの、不透明感強まる
■内閣府は『街角景気』について、「このところ回復に弱さがみられる。先行きについては、海外情勢等に対する懸念がみられる」と、基調判断を据え置きました。ただ、5月の『街角景気』は、各項目すべてで前月から低下し、特に先行き判断が大きく悪化しました。米中貿易摩擦の激化による世界経済への悪影響が懸念されるなか、消費税引き上げが10月に予定されており、国内景気の不透明感が強まっています。
(2019年6月12日)
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