運用者の視点:銘柄選択に有効な『中国オリジナル』
運用者の視点:銘柄選択に有効な『中国オリジナル』
「マーケット・キーワード」では、弊社のアジア株式運用者が運用業務を通して気付いたり、感じたことを“運用者の視点”として定期的にお届けしています。急速かつダイナミックに変革が進む、中国・アジア地域の経済やマーケットの“今”を、独自の視点でお伝えできれば幸いです。今回は、日本の改元に因んで、株式市場で有力な銘柄選択の切り口となり得る、『中国オリジナル』という視点について考えます。 |
【ポイント1】元号は中国が起源
■4月1日、「平成」の次の元号が「令和」に決まりました。元号の起源はもちろん中国です。世界で最初の元号は前漢の武帝が制定した「建元」(紀元前140年)でした。元祖の中国では約2,000年後の清朝を最後に消滅しましたが、現在は日本のみが元号を使用しています。中国で生まれた元号が日本に伝わり、大化の改新で知られる「大化」元年(西暦645年)から1,300年以上もの間、日本で脈々と受け継がれていることを思うと、歴史の長さを感じます。
■『中国オリジナル』にもかかわらず、現代中国に残っていないものは芸術の分野でもみられます。歴代の皇帝が収集した第一級の工芸品等の多くが国共内戦の戦火を逃れるため台湾に持ち出され、現在もそのまま台湾の故宮博物院所蔵となっています。中国の第一級の芸術品は、その多くが中国本土ではなく台湾に残っています。
【今後の展開】株式の銘柄選択で有効な『中国オリジナル』という視点
■ここで指摘したいのは、株式市場の銘柄選択にあたり、『中国オリジナル』という視点は有力な切り口になり得る、ということです。この視点は、「中国発祥」、「特色のある」、「他の国の企業が簡単にマネ出来ない」、「世界に通用する」等とも表現出来ます。これまでの中国の株式市場を振り返ると、こうした商品やサービスを提供する銘柄を選別することが、運用成績向上につながった場合が少なくありません。
■わかりやすい事例は「貴州マオタイ」です。中国の国酒とも呼ばれる高級蒸留酒メーカーで、その品質とブランド力は圧倒的です。誰もコピーできないので価格競争で値崩れするリスクが小さく、本物を求める消費者の期待に応え続けている銘柄です。ファンドマネージャーの仕事は、次の「貴州マオタイ」を探すことといっても過言ではありません。そしてその候補はハイテク分野などで次々と生まれているようにみえます。株式市場は、現代中国の宝探しの場でもあります。中国発祥で強力なブランド力と競争力を持つ銘柄に目を向けたいと考えています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2019年4月9日)
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